ちょうど1年前の『ラジオライフ』2014年2月号、
マニアックな視線でラジオ番組を取り上げる「ラジオステーション」のコーナーで取材をした、
ラジオ日本「YUKKYのラジカルランド」へ再訪した。
「YUKKYのラジカルランド」は金曜日の12:30~15:00(第3金曜日はお休み)に、
横浜のラジオ日本のスタジオから生放送されるお昼の電リク番組だ。
『ラジオ番組表2014年秋号』をめくり、ラジオ日本のタイムテーブルを見ても、
金曜日のその時間は「マット安川のずばり勝負」を放送しており、
「YUKKYのラジカルランド」の記載はない…。
と、思いきや、あった。14時台の下側に「YUKKYのラジカルランド」の文字が!
これはなぜ?というのも「YUKKYのラジカルランド」は、
ラジオ日本の小田原局(コールサイン「JORL」)、
1458kHz(100W)で放送される“ラジオ日本・ラジオウエスト”の独自番組なのだ。
金曜日の12:30~15:00(第3金曜日除く)は、
本局(川崎送信)の1422kHzでは「マット安川のずばり勝負」を放送しているが、
小田原局の1458kHzはパラレル放送になり「YUKKYのラジカルランド」が放送される。
こういった支局や中継局による独自番組は数は多くないものの、
全国のラジオ局で行われている。
それをまとめたのが『ラジオマニア2008』だ。
そこに記載されている放送局は北海道のSTVラジオとHBCラジオ、
青森放送、ラジオ福島、ラジオ日本、KBS滋賀、ラジオ佐賀がある。
AMラジオ放送局がない佐賀県は長崎放送の支局が佐賀県をカバーしているが、
「ラジオ佐賀」と呼ばれるほど独自番組が多い。
そのため『ラジオ番組表』でもラジオ佐賀は1つのAMラジオ局としてタイムテーブルを掲載しているほどだ。
同じくAMラジオ局のない滋賀県はKBS京都がカバーする。
しかし、KBS滋賀局独自の番組は現在はなくなってしまったようだ
(「JOBW」のコールサインでのベリカードは発行されているようだ)。
どちらにせよ、こういった支局や中継局独自の番組は実にラジオらしい。
ラジオマニアならぜひとも受信したいものだ。
2時間30分番組の「YUKKYのラジカルランド」は1年前の取材時と変わらぬ番組だった(ただし、第3金曜日はお休みになった)。
番組は2部構成をとる。
前半は放送エリアである西湘地域の情報と、リスナーからのリクエスト曲を、
パーソナリティのYUKKY(伊藤ゆき)がメッセージを読みながら曲をかける。
このメッセージだがメールはもちろん、FAXや電話(留守番電話)、手紙と幅広い。
これだけを見てもリスナー層の厚みを感じられる。
そうなるとリクエスト曲のレパートリーも幅広くなる。
洋楽から邦楽まで、時には聞いたことのない曲が流れるが、不思議と心地いいい。
それは同じ番組を聞いているリスナーからのリクエストだからだ。
リスナー同士の連帯感がもたらすもの。
18年間続く番組の底力であると同時に、
番組を進行していくYUKKYの存在が光る。
その独特なペースのしゃべり方が、
忙しくも週末感が高まる金曜日の午後の雰囲気にマッチするのだ。
ゲストコーナーも健在。
再訪した2014年12月5日のゲストはCONNYさん。
1981年に大ヒットした「キッスは目にして!」。
ザ・ヴィーナスのメインボーカルといえば、40代以上の人ならお分かりだろう。
ポニーテールとパラシュートスカートで歌って踊っていた、あのCONNYさんがゲストだ。
YUKKYがパーソナリティを務める深夜放送「ロック ラッシュ レディオ」(ラジオ日本 木曜日25:00~26:30)に、
CONNYさんが出演したことがきっかけで、「YUKKYのラジカルランド」へのゲスト出演したという。
CONNYさんは1983年のザ・ヴィーナス解散後も、
オールディーズのライブを続けている。
この日は年末のクリスマス特集ということもあり、
CONNYさんがリクエストしたクリスマスソングと、
自身の新曲「STAND BY ME ~いつも そばにいて~」を聞かせてくれた。
ゲストはオールディーズや若手のバンド、そして演歌歌手まで実に幅広い。
しかし、ステーションカラーはしっかりと現れている。
そして後半はパーソナリティがもう1人加わって、番組の雰囲気ががらっと変わる。
バンド、HIDEKING projectのギタリスト、ノブさんの登場だ。
コーナー名は「しゃべるギタリスト・ノブの! ユッキーかんべんしてよ~」。
毎週、YUKKYが、日々の“あるある”をまとめた“どーでもいいランキング”を発表して、
それに対してノブさんがコメントしていく。
時には20位までランキングされるが、台本は一切なしのフリー展開。
さらにいえば、番組内でYUKKYがランキングのテーマを発表するまで、
ノブさんにはテーマさえも教えられていないのだ。
それていて、よどみない軽快なトークを連発する。
YUKKYへの切り返しなど、ギタリストらしいアップテンポでランキングは進んでいく。
「しゃべるギタリスト」のコーナー名に偽りはない。
ちなみに「しゃべるギタリスト・ノブの! ユッキーかんべんしてよ~」のコーナーからエンディングにかけては、
番組のWebサイトでアップロードされるので、エリア外でも聴取可能なのはありがたい。
「YUKKYのラジカルランド」は本局の放送ではないため、
radikoはもちろん、全国のラジオが聞けるradikoプレミアムでも聞けない。
1485kHzの小田原局の放送エリアで放送波を受信しなければ聞くことができないのだ。
radikoでも聞けないなんて、すごいプレミアムな番組ではないか!
さらにプレミアムなのが、番組独自のベリカードを発行していること。
発行の条件は1485kHzを受信しただけではダメで、
「YUKKYのラジカルランド」を受信すること。
日中の番組なのでAMラジオ放送とはいえ、遠距離受信はムズカシイ。
必然的に小田原地域へ足を運んでの受信になる。
遠くは九州の人が小田原に来て受信した報告書を送ってきたという。
全国のラジオ局のベリカードを集めているラジオマニアはたくさんいるが、
ラジオ日本・ラジオウエストのベリカードを忘れずにゲットしてほしい。
ハードルはかなり高いが…。
痛快なランキングが終わった後もノブさんとのYUKKYのトークは続く。
そしてエンディング。
YUKKYがメッセージを送ってくれたリスナーの名前を、
その一部ではあるが時間の許す限り読み上げる。
その瞬間のYUKKYの表情を見ると、
リスナ-の1人1人を思い浮かべながらしゃべっていること分かる。
そしてYUKKYは「この番組はお聞きの皆さんのおかげで、お送りしたのだぁ~」で番組を終える。
ラジオ番組が長く続けられるのはリスナーがあってのこと。
このごく当たり前のことを「YUKKYのラジカルランド」は教えてくれる。
昔ながらのラジオらしい、リスナーとの一体感を感じられる番組なのだ。