思えば16年前に三才ブックスに中途採用となった私。
中学生のときに友達のアニキから警察無線を聞かせてもらったことはあったが、
それ以来、無線とは無縁の生活を送っていた(いや、クルマの免許を取った18歳のときにパーソナル無線をやろうとしたが、金がなくてできなかった)。
受信の専門誌「ラジオライフ」に配属されて私の人生は大きく変わって、電波大好き人間になっていった。
初めて手にした受信機はいまは亡きメーカー、マルハマの「鳴物入」だった(型番は忘れた)。
当然のことながら、マルハマの受信機では消防無線などはうまく受信できずに、当時はアナログだった携帯電話やコードレスホンを聞いていた。
男女の赤裸々な会話や危険な会話にそれなりにのめり込んだ。
しかし、無線電話ばかり聞いていても、発展がないので、業務系のジャンルを聞くことにした。
そこで選んだのがタクシー無線。
東京のタクシー無線は逆トーンの連続キャリア方式でサーチができなかったので、
手回しサーチをしながら、夜な夜なタクシーの交信を追いかけた。
なぜタクシー無線を選んだかというと、深夜でも交信が頻繁だったからだ。
深夜に帰宅したあと、頻繁に使われている無線といえば携帯電話とタクシー無線だったからだ。
毎日のようにタクシー無線を聞いていた。
そんなわけでペディションで全国にでかけるたびに、タクシー無線を聞いてその街の雰囲気を感じたものだ。
特に飲み屋へ配車されるタクシー無線に心ときめいたものだ。
繁華街の様子、ひなびたスナックなどを妄想して楽しむのだ。
歳月が流れ、東京のタクシー無線はデジタル化で聞けなくなってしまった。
それでも東京を離れるとまだまだタクシー無線は元気に聞こえてくる。
これは鉄道無線も同じで、東京圏が聞けなくなると、あたかも全国が聞けなくなってしまっているような、
ことをネットに書き込む人がいるが、聞けないのは東京だけで、全国レベルではJRもタクシーもガンガン聞こえる。
東京消防だってデジタル化されてはいるが、アナログも併用されているので、まだまだ聞ける。
署活系と合わせれば、聞き応えは十分。
聞こえないとか聞くモノがなくなったと嘆く前に、もっと受信ジャンルを広げてみませんか。
簡易無線やバス無線など聞いて、楽しい「おもしろ無線」はたくさんありますよ。
写真はタクシー呼び出しの専用電話。これでタクシーを呼んだ後にサーチをすれば、
自分への配車要請が聞こえてくるってこと。
タクシー無線は社名がわかるようなコールサインを使わないので周波数とタクシー会社名を一致させるのが至難の業。
聞きやすいけど本気になると現地調査が必要になるという奥深い受信ジャンル。
駅前のタクシー乗り場での動きを見たり、お金を使って配車要請して確認する猛者もいたほど。
そんな楽しみかたができるのも受信の魅力なのだ。