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小規模宅地等の特例には10カ月の期限がある

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期限内に申告しないと小規模宅地等の特例などが適用できなくなってしまいます。申告期限直前にほかの相続者が異議を申し立てトラブルに発展しそうになった事例を見ていきましょう。52歳で会社勤めをしている香澄さん。彼女の母は5年ほど前に亡くなり、香澄さん一家は父の住む実家に同居しています。

小規模宅地等の特例には10カ月の期限がある

自宅に住み続けて小規模宅地等の特例

76歳にもなり隠居している父でしたが、元はある企業の役員をしていました。退職後も貯蓄を投資信託などで運用しており、悠々自適に暮らしていました。さらに、香澄さんには弟がひとりいます。20年ほど前に結婚し、実家を離れて生活していますが、たびたび実家に家族を連れて帰ってきたりしており、家族仲も良好です。

しかしある日、父が急な病に倒れ、帰らぬ人となってしまいました。父は遺言書を残していませんでしたが、香澄さんと弟は、とにかく円満に解決できるようにと、母が亡くなったころから、話し合いをしていたのです。その内容は、自宅に住み続ける香澄さんが自宅を、弟がそのほかの財産を受け取るというものでした。

しかし、実際に相続しようとしたところ、思わぬ不満の声が弟から挙がりました。自分の相続財産の方が少ないのに、納税額が多くなってしまうというのです。確かに、香澄さんは自宅に住み続けるため、小規模宅地等の特例を使う予定でした。

小規模宅地等の特例が使えず相続税

これなら相続税を大幅に減らすことができます。しかし、弟は利用できる特例もなく、高額の相続税が課せられるのです。

弟は香澄さんに、再協議を提案しましたが、問題が持ち上がったのは相続開始から8カ月がたったころ。まだ少し余裕があるとはいえ、上手く話がまとまらなければ10カ月の期限に間に合わないかもしれません。そうなれば小規模宅地等の特例は使えなくなり、自宅を引き継ぐ香澄さんにも高額の相続税が課せられてしまいます。

焦った香澄さんは弟にこれを伝え、協議以降に追加の財産がみつかったときは弟に相続させることで受け入れて欲しいと提案しました。弟も「不要な税金を増やすよりは」と、その条件を承諾。どうにか不要なトラブルを生まずに済んだのです。

記事カテゴリ: カルチャー

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