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相続時精算課税制度と暦年課税制度どっちが得?

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法的に認められている「贈与」には、大きく分けてふたつの方法があります。それが「暦年贈与」と「相続時精算課税制度」です。後者を選択する人の数は、暦年贈与の1割ほどしかいません。その理由は、この方法で得になるケースが、極めて限定的だから。相続時精算課税制度について詳しく見ていきましょう。

相続時精算課税制度

相続時精算課税制度は2500万円まで非課税

まず、これらふたつの贈与において、非課税で贈与することのできる金額についてですが、「暦年贈与」では基礎控除額として毎年110万円の非課税枠が用意されています。

ただし、その年に贈与したことをきちんと証明できないと、後に税務調査などで課税対象とされることがあります。しかし基礎控除の枠は毎年与えられるため、贈与を継続的に行うことで、総額としてかなり高額の贈与を非課税で行うことも可能です。

これに対し、「相続時精算課税」では、総額で2500万円までの贈与が非課税となります。ただし、この金額は暦年贈与のように年間ではなく、贈与者が亡くなるまでの贈与額の合計。ただし、贈与額が2500万円を超えても超過分にかかる税率は一律20%だけです。

もし2500万円を暦年贈与として一括で贈与すれば、特例税率でも税率は45%で、税額控除は265万円。計算すると、860万円もの贈与税がかかることになります。また、暦年贈与で2500万円を非課税にするには、合計で23年にわたる贈与を行わなければいけません。

相続時精算課税制度は相続時に改めて課税

ところが相続時精算課税制度であれば、贈与する時点での課税は一切発生しないのです。これだけ聞くと、相続時精算課税制度の方が、暦年贈与や相続よりも、ずっとお得になると感じるでしょう。

しかしこの制度で課せられる税金は、これで終わりではありません。「相続時精算」という名前のとおり、この制度のもとで贈与した財産は、相続時に改めて課税対象となります。相続時精算課税制度を選んで以降の贈与総額と相続財産の合計が課税対象となり、相続税自体を減らすことはできないのです。

ただし、2500万円以上の贈与によって、超過した贈与分に課せられる贈与税20%分を納めていた場合であっても、その贈与税額は相続税から控除されます。贈与と相続とで重複課税されることはないので、その点は安心です。

記事カテゴリ: カルチャー

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