みなし相続財産で生命保険は相続税対策になる
相続財産というと、生前、被相続人が所有していた財産で、所有者が亡くなったために相続人に受け継がれる財産というイメージがあることでしょう。しかし、実際に相続の対象となる財産はそれだけではありません。被相続人が亡くなったことで、誰も所有していなかった財産を、相続人が受け取ることになる場合があるのです。
みなし相続財産として計算される4つ
被相続人が亡くなったときに相続人に受け渡される財産は、実質的に相続財産と同様の性質があるため「みなし相続財産」と呼ばれます。このみなし相続財産として計算される財産は「生命保険金」「生命保険契約に関する権利」「死亡退職金、功労金など」「個人年金などの定期金に関する権利」の4つです。
どれも被相続人が亡くなったことで、その親族の元に渡されることになる財産です。生命保険金などは、受取人を指定したうえで、被相続人の死後、その家族の生活などの保障として用意されるものです。
死亡退職金や功労金は、死亡弔慰金として支給されることもあります。会社に支給が義務付けられているわけではないので、かならず受け取るというものではありません。その会社に勤務していた人物が亡くなった際に、その会社への貢献や働きに対して与えられるものです。
個人年金は、被相続人が働いていたころに積み立てていたお金。本人が亡くなったあとには、遺族に支払われることになるため、相続人が受け取ることができるのです。
みなし相続財産は500万円の非課税枠
みなし相続財産は、すべて生前の被相続人の行動によって得られた財産であり、それを相続人が受け取るために、相続財産として計上され、相続税が課せられます。ただし、この場合の相続税は、通常の相続財産とは税額の計算方法が異なります。
どういう点が異なるのかというと、みなし相続財産はほかの財産と違って、相続人ひとりにつき500万円の非課税枠が設けられていること。みなし相続財産には500万円の非課税枠が設けられています。
そのため、通常の相続財産より価格の低い財産として計算され、課税額も安くなるのです。さらに、このみなし相続財産を受け取った相続人の相続財産が、すべて合わせても非課税枠より少なかった場合、残った非課税分を、ほかの相続人の財産に適用することができます。
上手く利用すれば、全体的な相続税自体を減らすことが可能。この制度があるため、生命保険は相続税対策に利用できるのです。