もじ鉄が再発見した完璧な姿で残った営団サイン
全国の駅名標を収集するうえでもっともハードルの高い地域が関東。その理由はもちろん鉄道会社の多さにある。単純な話だ。筆者は東京在住ゆえ、関東の駅名標の収集に出かけることは簡単。しかし簡単であるがゆえに進まないのも事実。なぜなら、いつでも行けるという思いが取材を先延ばしにさせてしまうのだ。
消滅したかと思われた営団サイン
灯台下暗しとはよく言ったもので、普段近くにあるからこそ気づかない発見や出会いが、今回のもじ鉄の取材を通してたくさん見つかった。当たり前すぎて気づかないことは本当に多い。
すでに消滅したかと思われた“ 営団サイン”だが、浅草には当時のまま完璧な姿で残っている(2017年現在)。なにが完璧か。
それはまず“ 地下鉄”と書かれたロゴタイプ、“ゴシック4550”の駅名表記、そして路線記号の“G”が付いていない丸だけの状態。この3つが揃った完璧な案内標を見る機会は、だいぶ少なくなってしまった。
なぜ浅草に残っているのか。これにはいくつかの仮説が立てられるが、もっとも有力な説としては設置場所に関わることだ。この案内標は地下鉄の出入口に面していない。“〈この先40メートル〉”と記されていることからも分かるように、駅の手前に設置されたものだ。
もじ鉄は工事期間中に要チェック
そしてその場所は雷門へと続く商店街のアーケードに掲げられている。つまり、この案内標の所有または管理が商店街にあり、東京メトロの手が及ばないところにあるのかもしれない。あくまでも推測だが、それが有力だ。なぜ有力かって? そんな気がするからですよ。
銀座線に乗り、浅草から神田へ。2017年に開通90周年を迎えた銀座線は各駅でリニューアル工事が進められ、もじ鉄的には思わぬ掘り出しモノに出くわすことも。
壁の装飾の向こう側に隠れていた、かつての駅名標が露わに。その下にリニューアル工事のため取り外された駅名標も設置され、神田駅の歴代駅名標が二世代揃い踏みとなっている。これは興奮せざるを得ない。
つまり、もじ鉄にとって駅のリニューアル工事は要チェック案件なのだ!駅の工事中は、動線が不便になったり、仮設の照明によって暗い雰囲気になったりすることもあるだろう。でも、もしかしたら思わぬ出会いや再会があるかも! そう考えると、工事期間中も、いや工事期間中こそ、楽しく駅を利用できるはずだ。