中潟憲雄のファミコン音楽で表現する小技とは?
中潟憲雄さんはゲーム音楽家・ディレクター・プロデューサー。ナムコで『源平討魔伝』『プロ野球ファミリースタジアム』『超絶倫人ベラボーマン』などに参加したのち、KAZeで『平安京エイリアン』『暴れん坊天狗』などを開発しました。そんな中潟さんにRIKIが8BITの魅力をインタビューしました。
音数も音色も少ないファミコン音楽
RIKI 『8BIT MUSIC POWER FINAL』収録の「Star Falsion 2」について、聞かせてください。「2」というのは……。
中潟 昔、アーケードで『スターファルシオン』というゲームを企画していたんですが、制作までこぎつけられませんでした。その企画の続編という意味合いで、「2」ということに。当時の曲を基に、ファミコンで鳴らしたらこうなるというアレンジを加えています。
RIKI 1曲の中で展開があって、最後はエンディングのような曲調になっているのが面白いです! 苦労したことなどありましたか?
中潟 ファミコンで表現する方法を、忘れていたことですね。音数も音色も少ないから、普通に音を並べても面白くはならない。そこで、ユニゾンさせつつ60分の3秒だけズラしたり、ちょっとデチューンさせて重ねたり、いろいろ小技があるんです。それを思い出すのが、苦労したところですね(笑)
懐かしい感じの曲のファミコン音楽
RIKI 楽しいところもありました?
中潟 昔を思い出しながら、楽しくやれましたよ。昔作った曲がベースにあるので、懐かしい感じの曲になっていると思います。MMLは、昔ファミコン音楽の作り方を教えた塩田くん(塩田信之。『サマーカーニバル’92 烈火』などを手掛けたゲーム音楽家)にお願いしました。彼は今でもバリバリにファミコン音源が使えて、こちらが考えていた以上の仕上がりになっています。本当に才能がある男です。
RIKI 今回の新曲でも感じたんですが、中潟さんのエンディング曲は印象深いものが多いですよね。
中潟 エンディングはゲームの世界観を体現するものだと思っています。だから、ゲーム内容を総括するような、そういうテーマを取り入れた曲に。ボツになった『スターファルシオン』についても、「こんなラストにしたい」というイメージがすでにあって、それを思い浮かべながら作った感じです。