マイホーム借上げ制度の終身型と期間指定型とは
マイホームは一生の買い物。人生の大きな位置を占めるものです。それは単純に費用が高額という意味だけでなく、それだけ長くつき合い、その人の人生と密接に関わるということでもあります。しかし、居住者の生活形態が変われば、住み続けるのが難しくなる場合も。マイホーム借上げ制度を見ていきましょう。
マイホーム借上げ制度は2つのタイプ
たとえば子どもたちと暮らすために買った家は、子どもの独立後、老夫婦ふたりになっては持て余してしまいます。管理まで考えると、かえって不便になるかもしれません。とはいえ、仕事の都合などで子どもたちとの同居が難しいこともあるでしょう。
また、転居しようにも家が売れないと動くことができず、不便な家に住み続けなければいけなくなることも考えられます。そんなときのために、住居から一時的に転居していても、その間の管理や賃貸を代行してもらえるマイホーム借上げ制度があります。
マイホーム借上げ制度には、終身型と期間指定型の2つのタイプがあります。終身型は、所有者が亡くなるまで物件を貸し出しておいて、亡くなったところで親族などがその物件に転居するというものです。最終的にその物件を子どもたちに相続させようと考えている場合に利用できます。
マイホーム借上げ制度の期間指定型
マイホーム借上げ制度の期間指定型は、期間を指定して貸出を行う方法。たとえば単身赴任などで子どもが遠方に暮らすことになり、数年後に帰ってきたらまた一緒に住もうと考えている場合などに有効です。契約期間が終わってもまだ貸出を希望するなら、延長することもできます。
また、もしその物件に入居者がつかなくても、移住・住みかえ支援機構(JTI)がその物件を借り受けているので空室期間でも賃料が支払われ、安定した収入が得られるのです。
なお、このとき支払われる賃料は、周辺地域の賃貸相場や対象物件の状況などに応じて決定されます。ハウジングライフプランナーなどが査定し、比較的安い賃料で、敷金や礼金はなしになりますが、居住者がいなくても賃料は補償されているので損にはなりません。
ただし、その賃料のうち5%が管理費、10%が空室保証や機構の運営費として差し引かれることになります。
マイホーム借上げ制度の申し込み
マイホーム借上げ制度は住み替えなどによって、所有している一戸建てあるいはマンションの物件が空き家になる人が利用できます。あるいは、日本に住居を所有しつつ海外に在住している人も申し込み可能です。ただし、どちらの場合でも50歳以上でなければいけません。
また、マイホーム借上げ制度の申し込みには手数料として1万7000円と消費税がかかります。さらに、実際に転貸を始めるにはハウジングライフプランナーとの相談や、カウンセリング、予備診断なども必要です。
マイホーム借上げ制度利用に対するメリット・デメリットなどについて説明を受け、申請者が物件を貸し出すことでその後の生活をどうしたいと考えているのかなどを相談します。
申請者の希望や状況を加味したうえで期間指定と終身型のどちらで契約するべきか、これからどのような選択肢があるのかなど、アドバイスを受けることができます。
なお、もし賃貸を行いつつ老人ホームなどに入りたいと考えるなら、その賃料収入を担保にしたJTI提携のローンも用意されています。これは住宅ローン限定ではないので、自由に利用することが可能です。
立派に子育てを終えたあと、夫婦ふたりでの新たな生活を考えるうえで、マイホーム借上げ制度は強い味方になってくれます。昔に手に入れたマイホームを持て余すことなく有効に活用しつつ、自由で快適な老後を過ごすためにとても役立つ制度です。