不動産の相続で難しいのは課税評価額の算出
相続財産には、株式や不動産など計算する時期で価値が変動するものも少なくありません。そういった財産の評価額は、被相続人が死亡した日を基準として市場価格から時価を算出し、それをもとにして課税評価額を判断するのが原則です。所有している人が多く、かつ計算が複雑な財産の代表ともいえる「不動産」の評価の方法を見ていきます。
不動産の相続では評価額算出が難しい
「不動産」の相続で評価額の算出が難しくなるのは、多くの場合、住居のように土地と建物それぞれが相続されるにも関わらず、どちらも個別に評価額を算出しなければいけないからです。
また、土地も建物も、それぞれにいくつかの評価方法が用意されています。その物件の利用法次第で、金額の計算法が異なるのです。そんな複雑な不動産の評価について紹介します。
まず不動産は、株式などと同様に刻々とその価格が変化していきます。そこで評価の基準とされるのが、相続が開始された時点での時価です。
しかし、土地などは同じものが販売されることはなく、かならず物件次第で条件が変わるものです。株式などのように、市場価格を参考にするのは困難になります。
不動産の相続に用意された評価方法
そこで、不動産の相続で用意された土地の評価方法が、路線価方式と倍率方式です。路線価方式は、毎年国税庁から公表される路線価をもとにした、土地価格不動産の評価法の評価方法のこと。路線価というのは、特定の道路に面した土地1平方メートルあたりの基準価格です。これを基準に、どのくらいの広さがあるのかを計算して、土地の価格を算出します。
これに対して倍率方式は、郊外などで路線価が用意されていない場合に使用する方法。国税庁のホームページ上で土地の評価倍率表が公開されており、その倍率を固定資産税の評価額にかけあわせて算出します。
固定資産税評価額は、一定の基準から市区町村によって決められるもので、土地の状況が変わらない限り、3年ごとに更新されます。これは市区町村の役場の固定資産課税台帳に記載されているので、もし通知書がみつからなければ、市区町村の役所で固定資産課税台帳を調べるか、固定資産評価証明書を取り寄せることで確認することが可能です。
また、固定資産税は土地の所有者が毎年納めているはず。もし相続した土地の固定資産税評価額を知りたければ、まずは被相続人が受け取った納税通知書を探し、その金額を確認することです。