不動産の相続は司法書士などに依頼するのが賢明
相続財産のなかでもとくに価額が大きく、トラブルの原因にもなりやすい財産のひとつが「不動産」です。これは必要となる手続きの難しさも相まって、相続人にとっては悩みの種になりがち。不動産の相続で求められる手続きは、所有者の名義変更。所有権移転登記とよばれます。名義変更という意味では、預貯金や株式と変わりませんが、必要となる届出の手続きは大きく異なります。
不動産を相続するための登記申請書
遺産分割を行い相続人が確定したところで行う相続手続きですが、不動産を相続し、それに合わせて所有権移転登記を行うことを、相続登記といいます。
この手続きに必要なのは、登記申請書と固定資産評価証明書、そして、預貯金や株式の相続でも使用した各種書類。加えて、被相続人のすべての戸籍、相続人全員の住民票、印鑑、さらに遺言などの分割内容を証明する書類などです。
このうち、固定資産評価証明書は、市区町村の役所から個別に発行してもらわなければいけません。相続する不動産の住所地の役所から発行してもらうことができます。
発行には、請求者の住所、氏名、生年月日、評価証明を求める資産の住所などの必要事項を記入した固定資産評価証明請求書が必要です。また、提出の際には、免許証や健康保険証などの本人確認書類を持参しなければいけません。
不動産の相続手続きしながら登記申請
それに対し、登記申請書には特定の書式は定められていません。そのため、所有権移転登記申請書などの書類を、申請者自身が作成することになります。相続する固定資産の詳細や評価額などを、登記事項証明書に合わせて記載。また、この登記申請書には被相続人に関する相続関係説明図を添付しなければいけません。
これは、誰が亡くなり、誰が相続するのか、ほかの相続人は誰なのかを示したものです。これを提出しておけば、相続人と被相続人などの関係についての確認が終わると、提出した戸籍などは返却してもらうことができます。
なお、不動産の登記には、それ自体に税金がかかります。登録免許税といわれるもので、税率は0・4%と相続税に比べれば低税率ですが、相続財産である住宅自体の評価額が高くなりがちなので、この税額もバカになりません。
こういった税金の計算や書類の作成を含め、登記申請は手続きが難しく煩雑です。ほかの相続手続きを行いながら進めるとなると、それだけ時間がかかってしまいます。そのため、必要に応じて司法書士などに相談し、書類作成を依頼するのもひとつの手です。