不動産の相続ですぐ名義変更を済ませるべき理由
相続財産のなかでもとくに価額が大きく、トラブルの原因にもなりやすい財産が「不動産」です。不動産の相続では、じつは手続き自体に期限はナシ。10年でも20年でも、被相続人の名義のままにしておくことができ、罰則などを受けることもありません。しかし、不動産の相続は、受け継ぐことが決まったらすぐに登記申請を行い、名義変更を済ませておくべきなのです。
不動産の相続で協議書が無効のケース
不動産の相続手続きは、単に戸籍などの書類を提出すればそれで終わりではありません。祖父から父に相続されたということを証明するため、遺産相続協議書を含めた、すべての相続人の合意を示す書類が必要です。
仮に当時の協議書が残っていたとしても、そこに書かれている相続人たちが全員存命だとは限りません。しかし登記所で戸籍などの書類を確認する際には、提出された協議書と相続人たちの戸籍などを確認します。それらの書類を確認して、古い協議書にある相続人が亡くなっていた場合、その子孫が代襲相続人となります。
そうなると、その協議書は無効。改めて祖父からの相続権を持っている人物からの承認を得て、それを証明する戸籍などを取得しなければ、相続はできません。再度協議書を提出するため、祖父の相続人にあたる祖母や伯父伯母などに頼んで、署名と印鑑をもらって協議書を作らなければいけないのです。
不動産の相続は早めに名義変更を済ます
伯父や伯母が亡くなっていれば、代襲相続人の従兄弟に頼むことになりますが、これらの親戚が遠方に住んでいる場合などには、この作業はかなりの手間になります。
もし相続時に名義変更をしておかなければ、自分が亡くなったとき、この手間を自分の子どもに強いることになってしまいます。そんなことにならないよう、相続で不動産を受け継ぐことが決まったらすぐに登記申請を行い、名義変更を済ませておくべきなのです。
所有権移転登記申請書の届出先は、不動産の所在地を管轄する登記所(法務局)。届出人は、不動産を相続する人です。必要なものは、被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本、相続人の戸籍謄本、被相続人の死亡記載のある住民票、手続きする人の住民票などがあります。