相続で財産の使い込みが発覚したときの対応策
財産の所有者が亡くなったり認知症になったりすると、銀行は口座を凍結します。これは、相続人や親族が勝手に手を出すことができないようにするためです。しかし、銀行がこういった措置をできるのは、所有者についての情報を把握できている場合だけ。同居している家族が認知症などの事実を隠していれば、口座は凍結されません。
不法行為による損害賠償請求の時効
そのため、いざ相続開始となると、親が持っていたはずの財産が使い込まれ、手元にほとんど残っていないことがありえるのです。では、こんな場合に相続人は泣き寝入りするしかないのかというと、そんなことはありません。そういった場合にもきちんと相続人を助ける救済制度が用意されています。
ひとつ目は、不法行為による損害賠償請求。病人からの委託財産や故人の財産を勝手に使い込むのは、他者の権利を侵害する不法行為として扱われます。そのため、これによって相続などに生じた損害は、賠償を請求することができるのです。
ただし、これには時効があります。被害の事実、および加害者を知ってから3年たつと、請求権は消滅してしまいます。
不当利得返還請求権の時効は10年間
もうひとつは、不当利得返還請求権です。これも基本的には同様の考え方で施行される制度ですが、時効は不当に財産を使用された日から10年間です。
法律上認められる契約などもなく、だれかが得るべき利益を別の人が受け取ること、あるいはその利益そのもののことを不当利益といいます。本来の受益者の不利益は、不当利得を得た人に請求されます。
どちらも裁判所を通じて訴えを起こし、法的に請求することが可能ですが、個人間での話し合いによって解決できるなら、それでも問題はありません。故意ではないケースや勘違いの可能性もあるので、まずは利益の取得者に連絡し、話し合うところから始めましょう。
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