中潟憲雄が8BITに惹かれる理由をRIKIが聞く
作曲だけでなく企画/ディレクションも行い、ゲーム業界の前線に立ち続けてきた大御所ゲームクリエイター・中潟憲雄さん。レトロゲームのレジェンドであり、現役の開発者であり、同時にレトロゲームブームの担い手でもある中潟さんの仕事を振り返りつつ、なぜ我々が8BITに惹かれるのか考えていきましょう。
8BITの音楽がジャンルとして成立
RIKI 中潟さんは、最近のレトロゲームブームについてどう感じておられますか?
中潟 自分が作ったものが30年経っても覚えてもらっているというのが、まずは嬉しいです。
RIKI 『源平討魔伝』(1986年・AC)は、つい先日に30周年記念アルバムが出たところですね(SweepRecord「源平討魔伝 ~参拾周年記念音盤~」)。
中潟 僕はプラモデルで育ち、大人になってから当時のものを集めはじめたんですよ。だからリバイバルの魅力はすごくよくわかる。子供のころに強い影響を受けたものは、必ず大人になってから「来る」。本当に好きだったものは、心の中に残るので。
RIKI 当時の開発者がいま、再び僕らのために作品を作ってくれるのがありがたいです。『8BIT MUSIC POWER FINAL』でファミコンの曲を依頼されたとき、どう感じられましたか?
中潟 驚きましたね。8BITの音楽がジャンルとして成立しているという認識が無く、「なんでそんなものを?」と思いました。でも、いろいろ調べていくうちに、そういう世界があることが分かって。
レトロゲームブームの面白さを知る
RIKI 大人になるとしっかりゲームをプレイする時間も無くなるし、音楽中心で好きな曲を自由に聴けるものがあったらいいなと思ったんですよ。
中潟 それは本当にそうだね。
RIKI 子供のころ、店頭デモをずっと見ていたような感覚で楽しみたかった。
中潟 ゲームの音楽で育った世代だからこそ、成し得た発想だと思うんですよ。ゲーム音楽をゲームから切り離して、音楽として楽しむというコンセプトは、当時作っていた世代からは出てこない。
RIKI 『8BIT MUSIC POWER FINAL』でレトロゲームブームの面白さを知って、次は自分で『NEO平安京エイリアン』(2017年・FC/FC互換機)を作ったわけですね。音楽とディレクターで、ずっとゲーム開発を続けてきた中潟さんならではです。
中潟 RIKIくんが話を持ってきてくれたのが、すべての始まりですよ。何にもないところから、「これが好きで、世の中に出したいんだ!」って気持ちで作られたものが、一番強いんです。そういうとき、世の中には同じ気持ちを持っている人が必ずいて、共感してもらえる。
RIKI ありがたいです! 中潟さんにそんなことを言ってもらえるとは!!
中潟 RIKIくんが初めてこういうものを作ったのは、すごいことだと思っていますよ。