事業承継で株式譲渡は評価額が変わるので要注意
事業承継でもし、すでに事業を引き継ぐ人物が決まっているのなら、その相手に引き継ぐための準備をしなければいけません。まずは、承継者に株式を譲渡します。株の3分の2以上を経営者が保有していれば、株主総会で会社の重要事項も単独可決できるので、できることなら3分の2は譲っておくのが望ましいといえます。
相続時精算課税制度の利用も効果的
しかし、贈与される株の評価が高ければそれだけ贈与額が上がり、贈与税がかかってしまう可能性もでてきます。株には評価額の下がるタイミングがあるので、その時期を狙って贈与を行うことを考えます。
また、相続時精算課税制度を利用するのも効果的な方法。早めに贈与しておけば、その利益を相続税の納税資金に充てることもできるかもしれません。
ただし、株式を贈与するときに注意しなければならないのが、将来待っている相続です。被相続人が亡くなる3年以上前の贈与なら相続財産として相続税は課せられませんが、遺産分割協議でどう扱われるかは別の問題です。
贈与した時は安かった株も上がる可能性
その株を承継者が受け取ることに誰も不満を示さず相続が進めば問題ありませんが、そう上手くいくとは限りません。贈与した時点では安かった財産も、相続が始まり、分割協議を行うころには、価格が上がっている可能性もあるからです。
そうなってしまうと、ほかの相続人の遺留分を侵害してしまう恐れがでてきます。仮に遺言書に承継者のことまで残しておいたとしても、遺留分は請求可能です。
会社の株を分割相続したり、遺留分の金額を承継者が支払うことになるかもしれません。そこまで見越して、事業の承継問題はきちんと準備をしておかなければならないのです。
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