二次相続の失敗で相続税額が高くなるケースとは
両親と子どもふたりの家庭の場合、父が亡くなったら相続人は配偶者である母と子どもふたりの合計3人。そして、母が亡くなって残る財産は、父の遺産と母の財産が、すべて子どものものとして相続されるのです。この場合における、父からの相続を一次相続、母からの相続を二次相続といいます。
二次相続で結果的に相続税が増えた
二次相続の失敗例を見ていきましょう。一次相続が課税遺産総額4000万円で、相続人は配偶者と子どもふたりの場合。通常なら、配偶者の税額は2000万円×15%-50万円=250万円となります。また、子の税額は1000万円×10%×2=200万円です。相続税は250万円+200万円=450万円となります。
このとき、すべての財産を配偶者に相続させた場合、配偶者控除により、この時点での相続税はかかりません。
とはいえ、二次相続では課税遺産総額4500万円、相続人は子どもふたりとなります。このときの子の税額は2250万円×15%-50万円×2=575万円。結果的に一次相続で済ませれば相続税450万円だったものが、575万円に増えています。
ポイントは父の死後、母が子どもに生前贈与などをしていなかったこと。このため、母の財産などもすべて相続することになり、さらに相続人が減るために相続税額が高くなってしまうのでした。
二次相続の可能性があれば対策を練る
一次相続では、相続人数が多く、遺産を分散させることができました。本来は、このときに財産を分散させることで、少しでも低い税率で相続できるようにするべきだったのです。
また、相続でトラブルになる可能性が高いのも二次相続。両親ともに亡くなってしまうと配慮する相手がいなくなってしまいます。そんななかで、父の財産を合わせた高額の遺産を残してしまうと、それだけ争いに発展する可能性も高くなってしまうのです。
そのような事態を避けるためにも、一次相続の時点で配偶者の生活を保障しつつ、できる限りの財産を子どもに相続させておくべきだったと考えることができます。二次相続の可能性がある場合は、きちんとその相続も上手く処理できるように考えて、対策を練っておく必要があるのです。