介護補償給付は介護の状態で労災から支給される
万が一のことですが、仕事上の事故によるケガや病気のために障害が残ることがあります。そうなったときに、介護が必要になった場合は、介護に要した費用などを、労災保険から「介護補償給付」として支給を受けることができます。介護補償給付の支給条件や支給額などについて詳しく見ていきましょう。
介護補償給付を給付される条件とは
介護補償給付は、業務災害などによりケガを負い、重度の障害のため、常時介護または随時介護を受けている人が対象です。それらの人に対して、介護費用の実費補填として支給される給付です。
労災保険から介護補償給付を給付されるには、障害補償年金または傷病補償年金の受給権者でなくてはなりません。労災事故などにより障害が残った場合でも、支給要件を満たさない軽い障害では、介護補償給付の対象となりません。
また、介護老人保健施設、障害者支援施設、特別養護老人ホーム、原子爆弾被爆者特別養護ホームに入所していないことも前提条件となります。介護補償給付の要件のどの場合にも共通するのが、常時または随時介護が必要な状態であるということです。
常時介護が必要な状態とは、障害や傷病にて日常生活を送ることが困難な場合(障害等級、傷病等級1級程度の人など)のことで、随時介護はそれより軽い状態(精神神経・胸腹部臓器に障害を残し、随時介護が必要な人など)になります。
介護補償給付の具体的な金額の違い
ただし、これらの要件を満たしていても、実際に介護が行われていない場合には、介護補償給付は支給されません。加えて、病院または診療所に入院している期間などは支給されないので注意してください。
介護補償給付は月を単位として支払われます。受給要件を満たす人に、実際に介護を行った日があれば、その日が属する月には、給付が発生するというわけです。親族などによる介護か、それ以外の人が行った介護かで支給金額は変化します。
それでは、介護補償給付の具体的な金額の違いをみていきましょう。たとえば、常時介護を要する場合、現実に介護の費用を支出しているときには、1カ月当たり10万5130円を上限として、実際に支出した金額が支給されます。
また、親族などの介護を受けている場合には、介護の費用を支出していなくても1カ月当たり5万7110円が一律に支給されます。
介護補償給付を受けたい場合の申請
随時介護を要する場合、介護の費用を支出しているときには、1カ月当たり5万2570円を上限として、現実に支出した金額が支給されます。親族などの介護を受けている場合には、介護の費用を支出していなくても1カ月当たり2万8560円が一律に支給されます。
介護補償給付を受けたい場合には、受けることができる年金に応じ、それぞれ異なる時期に申請する必要があります。障害補償年金の受給権者の場合には、障害補償年金の請求と同時、またはそれ以後に。傷病補償年金の受給権者の場合には、傷病補償年金の支給決定後に行う必要があります。
どちらも介護補償給付支給請求書を管轄の労働基準監督署へ提出することになります。その際には、労働者の氏名・生年月日・住所や介護を受けた場所の記載が必要なほか、医師または歯科医師の診断書などの書類の添付も必要です。
そして、その障害が介護を要するか否かを判断するため、受給後も定期報告書の提出が必要であり、その場合、「当該障害を有することに伴う日常生活の状態」に関する医師等の診断書を添付して行います。