遺言書の付言事項では家族一人一人に感謝を書く
いわなくてもわかってくれると思って遺言書に付言事項を書かなかったために家族が衝突。一人ひとりへの感謝を忘れてはいけません。姉弟への付言事項の差が家族の絆を壊してしまった事例を見ていきましょう。家族のためにと思ってとった行動が、図らずも家族を引き裂いてしまうことがあります。
持って数年だろうと告知を受け遺言書
啓太さんは家業を継ぎ、実家で両親と一緒に暮らしています。姉は高校卒業後に実家を離れ、家庭を持っています。啓太さんの父はすでに83歳で大病を患っており、自宅療養中。持って数年だろうと告知を受けていました。
本人もそれを受け入れて遺言書を残し、家族にも遺言内容まで含めて伝え、合意を得ていました。
そしてある日、父は容態が悪化。姉にも連絡しましたが、そのまま亡くなり、家族で葬儀を行いました。一通り手続きが終わり落ち着いたところで、母が手紙を持って啓太さんたち姉弟のところへ。翌日、啓太さんは遺言書の検認を受けました。
遺産分割以外に遺言書の付言事項
そこにはあらかじめ聞いていた遺産分割以外に、遺言書の付言事項として、家業を継いで仕事と家に尽くしてくれた啓太さんへの感謝が書かれています。そして、その礼として、自宅と家業に関する財産のすべてを啓太さんに相続させると書かれていました。
母は涙ながらに読んでいたのですが、これを聞いた姉は怒り心頭。「ほとんど援助も受けずに暮らし、弟と違って孫の顔もみせたわたしに、悪口のようなことまで書いているなんて!」といい始めました。
母はそれを否定しましたが、姉の怒りは納まらず、ケンカになってしまいました。結局、相続自体は通常の手続きの通り遺言書に従って行われたのですが、姉はいつまでも納得せず。家族の間に拭い去ることのできない大きな不和を残す結果となってしまったのです。
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