要介護を避けるための助成が住宅改修予防給付金
歳をとると、生活のさまざまな面で困難が生じることがあります。たとえば若いうちに自宅を購入した場合、いまは普通に暮らしていたとしても、10年後もその家で同じように生活できるとは限りません。そこで、高齢者が対象としてリフォームを支援する「住宅改修予防給付金」について見ていきましょう。
住宅改修予防給付金はリフォーム支援
設備の老朽化だけでなく、住人の高齢化も快適な生活を妨げる重大な問題です。しかし、歳と共に身体が衰えていくのは避けられないこと。身体の変化に合わせて家を作りかえていくことが必要になります。
高齢化による身体の衰えがとくに顕著に現れるのが足腰です。歳をとると、普通に階段を上り下りするのも難しくなる可能性がありますし、誤って転倒してしまう危険も高まります。
また、浴室の床で滑ってケガをするということも少なくありません。高齢者のひとり暮らしの場合、そのまま生命を落としてしまうことすらありえるのです。
こういった自宅に潜む危険を取り去るために、市区町村などから住宅のリフォームに対する支援を受けることができます。それが「住宅改修予防給付金」です。
住宅改修予防給付金は上限20万円ほど
住宅改修予防給付金は、その名の通り予防のための制度なので、対象者は要介護認定を受けていない高齢者。バリアフリーのための手すりの取り付けや階段のスロープ化工事などが対象です。
住宅改修予防給付金の給付金額は自治体ごとに異なりますが、工事費用の上限が20万円ほどで、その8~9割程度を支給してくれるというところが多いようです。
ただし、住宅改修予防給付金の制度では自分で好きに工事を行い、終わってから費用を請求するということはできせん。工事の前に市区町村役場や地域包括支援センターに申請書を出して住居と対象者の状況を確認してもらい、必要な工事内容の指示を受けます。
自治体によっては施工業者も指定される場合があるので、まずは担当者への相談が必要です。また、工事が終わったら、再度担当職員が自宅を確認します。問題がなければ、届け出を行って手続きは終了です。
なお、住宅改修予防給付金の給付金を受け取るのは申請者ではなく工事を行った業者の方。申請者はその分、当初の支払い自体を安く済ませることができます。
住宅改修予防給付金の対象範囲は限定
これによく似た制度で、住宅設備改修給付というものがありますが、こちらは高齢者の生活とその介護をしやすくするために、特定の設備などを作りかえる工事が対象。階段昇降機の設置や縁の低い浴槽への交換などを行うことができます。
対象となる高齢者が要介護認定を受けていることが条件に含まれる場合もあるので、詳しくは市区町村役場などで確認が必要です。
住宅改修予防給付金は、自宅のバリアフリー化を考える際に強い味方となる制度なのですが、対象となる工事は範囲が限定されています。事前に担当者に相談して進めるのが基本ですが、対象にならないリフォームの条件については確認が必要です。
まず前提として、この制度は工事内容の確認や業者の指定があるため、事前申請は必須です。先に工事を始めてしまっている場合などについては、基本的に給付は認められません。
また、忘れてはいけないのは、これがバリアフリー化を目的とした制度だということ。老朽化した住宅設備の補修や新築、無関係な設備の増設などの工事は対象外です。なお、高齢者の健康のためといっても、浴室の暖房設備などのような機能を追加する工事も含まれないので注意しなければいけません。