住宅設備改修給付金は要介護認定を受けた人向け
体が不自由になり、自宅に住み続けるのが難しくなれば、住み替えるかリフォームを行わなければいけません。しかし、リフォームが必要だからといって、住居全体の改修が必要だとは限らないもの。なかにはごく一部の設備だけが使いにくい場合もあるでしょう。そんなときは「住宅設備改修給付金」があります。
住宅設備改修給付金は事前申請が条件
特定の設備の付け替えなどを行う場合には「住宅設備改修給付金」が支給されます。対象となる工事の内容は自治体によって異なるのですが、主に浴槽やトイレの交換や手すりの設置など。とくに浴槽は、高齢者が足を滑らせて転倒し、骨折などしてしまうことがとても多い場所です。
縁を低くして出入りしやすくする、安全に立ち上がれるように滑りにくい素材に変える、手すりを設置するなどの対策をとり、ケガを予防しておくことが必要です。
また古い民家などの場合は、いまだにトイレが和式になっていることがあります。昔から使っていれば慣れたものかもしれませんが、しゃがみ込む体勢は足腰に負担になるもの。これも転倒の危険性を高めるので、洋式に変えておくことをおすすめします。
ただし、設備の老朽化への改修工事や過去に同じ給付を受けて工事を行った設備への改修では、住宅設備改修給付金を受けることができません。また、この制度は事前申請が条件になっているため、申請前に着工してしまっている場合も給付はナシ。きちんとこの条件も確認しておく必要があります。
これらの設備の改修は、使用する高齢者本人のためになるのはもちろんのこと、介助をする家族にとっても助けになります。誰もがより安全かつ快適に暮らせるようにするために、設備のリフォームは大きな意味を持つのです。
住宅設備改修給付金を受ける手続き
なお、住宅設備改修給付金の申請をできるのは介護保険において要支援認定、あるいは要介護認定を受けている65歳以上の高齢者だけです。さらに、実施している自治体から改修が必要だと認められなければ、受給することはできません。給付金額も自治体によって異なっているので、事前に確認しておきましょう。
では、住宅設備改修給付金を受けるためにはどのような手続きが必要なのでしょうか。東京都杉並区の場合を参考に順を追ってみていきます。
まず、居住者が介護認定を受けており、その改修が必要であると証明しなければいけません。そのため、自治体の役所に相談。工事内容が給付対象になるか、手続きは必要かなどを、ケアマネージャーに相談して確認します。
これが認められると、次は理由書の作成と申請です。理由書の作成は原則として担当のケアマネージャーが行います。そのほかにも、理学療法士や作業療法士などの資格を所有していれば、この作成は可能。もし担当者が不在の場合はこれらの人に依頼するのも手です。
住宅設備改修給付金は完了後に支払い
理由書がまとまったら、次は改修内容の決定と見積もり。業者を指定されるわけではないので、希望する施工業者に工事内容を連絡し、見積もりを出してもらいます。必要に応じて、複数の会社から見積もりを取っておけば安心です。
さらに改修される前の写真を撮影し、理由書、申請書、見積書、図面と一緒にまとめて提出します。役所では約1週間かけてこれを確認。それが終わったところで確認書類が発行されます。申請者がこれを受け取ればようやく工事開始です。
なお住宅設備改修給付金は、工事の完了後に費用に応じた給付金を支払うものなので、工事が終わったら、施工業者には費用の全額を支払い、再び該当箇所を撮影します。領収書と工事の内訳書、写真を添付した改修完了確認書を提出して、ようやく手続きは完了です。
役所ではこれを受け、再度内容を確認。およそ1カ月ほどで決定通知が申請者の元に送られ、それと一緒に、本人の口座に給付金が振り込まれます。
住宅設備改修給付金の制度の場合、受給条件が自治体ごとに異なり、場所によってはかなり細かく規定されています。また、手続きに必要な書類が多く、手順も煩雑。工事期間もあわせると、長期的な制度になるので、忘れてしまったり、ミスしてしまうようなことがないように、十分に注意しなければいけません。