保険にお得に入るためにビジネスモデルを理解
人が一生に払う保険料の総額は1000万円以上ともいわれています。だからこそ、ライフスタイルに合った得する保険の入り方を知ることがなによりも重要なのです。結婚や子どもが生まれたのをきっかけに、自分に万が一のことがあった場合を想定して家族の生活を守るためにと保険に加入しているという人は多いはずです。
毎月いくらかを保険会社に支払うシステム
しかし、改めて考えると、その仕組みや保障の意味などは、よくわかっていないという人も多いのではないでしょうか。「病気などで収入が得られなくなった場合に、支払った保険料が保険会社から返ってくる」という程度の曖昧な認識のままでは危険です。
そもそも保険というのは、加入者の誰かに問題が起きたときに、保険会社を通じて助け合うかたちで仕組みが成り立っています。加入者が納めた保険料を保険会社が管理。誰かがケガをしたり亡くなったりしたときに、保障内容に応じて一部が支払われるのです。
「もしものときのための備え」として、毎月いくらかを保険会社に支払うシステムになっています。また、保険金が受け取れるのはケガや病気だけとは限りません。商品にもよりますが、保険には期限があり、それを満たした時点で契約は満了になります。その時点で、満期返戻金として保険金が返ってくるのです。
保険金の額は商品や保険のタイプで変わる
この保険金の額は、商品や保険のタイプによって変わってきます。払い込んだ保険料に対して返ってくる満期保険金の割合を利率といい、これが高いほど貯蓄性が高いということです。
ここまでの話で疑問に感じた人もいるかもしれませんが、この保険のビジネスモデルを考えると、保険会社のメリットは低く思えます。たとえば加入して保険料を充分に払う前に病気やケガになる被保険者がいると、保険金の額が保険料よりも高くなってしまうこともあるでしょう。
また、多くの人が満期まで保険を利用し、そこに保険料の総額と変わらないような額の保険金を支払っていては、利益は生まれません。
保険会社はどのように利益を得ているのでしょうか。保険会社が加入者から得た保険料を運用することで利益を生み出しているのです。大規模の資本を利用し、幅広い商材に投資することで、リスクを避けて運用しています。
また、保険会社は会社の経営に利用できる範囲を設けた上で保険料を設定しています。この経営に使える分の保険料、つまり付加保険料があるから保険会社は利益をあげられるのです。
保険会社のビジネスモデルは利率に影響
また、なかには保険を自ら解約する契約者もいます。この場合でも解約返戻金として、契約者のもとにはお金が返ってくるのですが、この金額は保険料より少額になっていることがほとんど。保険会社からすると、この差額も利益になります。
保険会社のビジネスモデルは消費者にはほとんど無関係に思われるかもしれませんが、じつはそんなことはありません。会社の利益、とくに運用の利益は、終身保険や個人年金保険の利率に直接関わってきます。
現在はどこも低金利になっており、運用による利益はほとんど期待できません。そのため、どれだけ貯蓄性が高い保険であっても、保険料に対する保険金の利率は1%程度です。しかし、ほんの30~40年ほど前にはこの利率が5%もあったのです。
この差を左右するのが、保険料を運用して得られる利益です。なかには「予定利率」を設定し、最終的に満期返戻金としてその利率に合わせた保険金を返還すると設定している保険もあります。
1990年代ごろにそういった保険に加入していたという人は、満期まで持っていることで利益を得られる可能性があります。