健康保険資格喪失届の手続きで注意するべきこと
日本ではさまざまな健康保険が用意されており、被保険者の職業や役職によって適用される保険が異なります。健康保険はどれも被保険者が亡くなった翌日で資格が失われます。そのため、死亡時には保険の種類によって異なる、いくつかの手続きが求められるのです。健康保険資格喪失届の手続きをみていきます。
健康保険資格喪失届の手続きを確認
国民健康保険に加入するのは、自営業を営む個人事業主や、専業主婦などのような、企業などに雇用されていない人たちです。
それに対して、被雇用者が加入するのが職域保険。社会保険や被用者保険とも呼ばれ、会社員や公務員など、多くの人々にこれが適用されます。また、職域保険加入者の扶養家族も、加入者本人同様、この保険への加入扱いになります。
最後のひとつが、後期高齢者医療制度。こちらは名前の通り後期高齢者が対象になります。すでに仕事を引退した75歳以上の人や、65歳以上で障害のために寝たきりになったりしている人向けに設置されている保険制度です。
なお、国民健康保険や後期高齢者医療制度の適用者と比べると、職域保険の加入者が圧倒的多数を占めています。実に全体の半分以上は、職域保険の加入者です。それぞれの健康保険資格喪失届の手続きを確認していきましょう。
国民健康保険資格喪失届を提出する
まず、国民健康保険の被保険者が亡くなった場合、住所地の市区町村役場に「国民健康保険資格喪失届」を提出します。この書類は市区町村役場の窓口、またはホームページから取得することが可能です。
届出には、死亡を証明する戸籍謄本などの書類や、亡くなった被保険者と、その世帯主のマイナンバーカード(故人本人の場合もあります)、届出人の印鑑が求められます。また、保険証は亡くなった時点で無効になり、期限内に役場の窓口に返却しなければいけないので、そちらも一緒に持参することになります。
ちなみに、自治体によっては、役所に死亡届を提出した時点で被保険者の死が通知されることがあります。そういった自治体ならその時点で保険資格も喪失されるため、国民健康保険に関する個別の届出は必要なくなります。
ただし、それでも保険証の返還は必須。忘れずに窓口へ届けなければいけません。これらの手続きは死後14日以内に行うことが求められるので、忘れることがないように注意が必要です。
職域保険の健康保険資格喪失届の申請
一方、職域保険加入者が亡くなった場合、健康保険資格喪失届は雇用主が代わりに申請してくれるのが一般的です。ただし、その分、遺族から職場に対して行わなければいけない手続きもいくつか存在します。
また、国民健康保険でも職域保険でも、亡くなったのが世帯主だった場合、保険の加入状況などが変わるため、窓口での書き換え手続きが必要です。
国民健康保険なら、保険証の内容を書き換えてもらうだけですが、もし故人が職域保険に入っており、家族がその扶養として一緒に職域保険加入者になっていた場合、扶養者である世帯主が亡くなり、無効になります。
そのような場合には、新たに別の同居者の扶養に入るか、個人で国民健康保険に加入するといった手続きが必要になるのです。
健康保険資格喪失届などが不要の保険
以上のような保険と違い、後期高齢者医療制度の場合、健康保険資格喪失届などのほとんどの手続きは不要です。この制度はほかのふたつの保険とは異なる部分が多いので、家族が適用されることになったときに、最低限の仕組みを確認しておくことをおすすめします。
このほかにも、被保険者が亡くなったときには、まだ行うべき手続きがあります。それは、葬儀費用や埋葬費用の支給申請です。
国民健康保険や後期高齢者医療制度の加入者が亡くなった場合、その葬儀費用や埋葬費用として遺族が支払った金額のうち一部は、健康保険料から支給されることになります。金額は加入している保険の種類や自治体によって異なりますので、確認しましょう。
こちらの請求は、資格喪失の届出や保険証の返却などとは違い、期限が長く設定されているので、亡くなってすぐの手続きは必要ありません。しかし、明確にいくら払ったのかがわからなければいけないので、その管理が重要です。