公共職業訓練を受けながらもらえる3つの手当て
一度就職した会社を離れ、新たな就職先を探そうと思うと、自分がその就職先に入るだけの能力を持っていると証明することが重要になります。しかしそうはいっても、面接など、一般的な入社試験だけでそれを証明するのは困難なもの。そんなときに仕事に役立つ資格を持てる「公共職業訓練」を利用します。
公共職業訓練に中高齢者向けの科目
在職中は仕事が忙しく、資格を取ろうと思ってもなかなか難しいものです。そこで、仕事を辞めて時間があるときは、資格や技術の取得にうってつけの期間とも考えられます。そんな人を支援する訓練と助成金の制度があるのです。
再就職に向けての訓練支援を「公共職業訓練」というのですが、この名前を聞くと、どちらかというと経験の浅い若者向けの制度のように感じてしまうかもしれません。しかし、この制度には年齢制限は定められておらず、幅広いカリキュラムや科目が設置されています。なかには、中高齢者の求職者向けの科目も用意されています。
たとえばパソコンスキルや日本語教師の資格など。パソコンの操作技術はどんな仕事をするにも求められるものなので、タイピングの技術や、ワード、エクセルなどの基本的なビジネススキルを習得しておいて損はありません。
また、介護士やビルの管理などは、資格があれば比較的就職しやすい職業といえます。高齢者の場合、これを選ぶ人も少なくありません。さらに人気なのが日本語教師。若い人よりはある程度年齢を重ねている方が信頼感があるため、中高齢者に適した仕事だといえるでしょう。
公共職業訓練には3種類の形式がある
こういった仕事には、それに適したスキルや資格を得るためのコースが用意されています。定年退職を迎え、これから新たな人生を始めようと考えている人には一考の価値があります。
なお、公共職業訓練には受講者に応じた3種類の形式があります。ひとつは、まだ社会人経験がない新卒者を対象に、1~2年程度実施される学卒者訓練。もうひとつは、在職者訓練といってすでに就職し、働いている人向けに2~5日程度行われるものです。最後が3カ月~1年かけて離職者の再就職を支援する離職者訓練です。
学卒者訓練や在職者訓練は有料ですが、離職者訓練は雇用保険を受給しつつ就職活動を行っている求職者が対象になっていることもあり、テキスト代などを除いて無料で受講することができます。それどころか、3つの手当が支給されるのです。
まずひとつ目は、受講した日1日につき500円支払われる受講手当。さらに、訓練施設への交通費も通所手当として支給されます。上限額は毎月4万2500円です。さらに、失業給付の給付期間がこの訓練の受講中に終了した場合、期間終了後も訓練延長給付として期間中と同額を受け取ることができます。
公共職業訓練はハローワークで申請
また、自己都合で退職したときに設定される給付制限の期間も、訓練を受けていれば無効になります。支出なしで訓練を受けることができるどころか、いくつもの手当や特例が与えられるのです。
公共職業訓練を受講したい場合、ハローワークで申請を行います。ただし誰でも訓練が受けられるわけではなく、希望している職業に就くためにその訓練が必要だと判断された場合のみ受講可能です。加えて、希望者がその講座を受けるのに十分な能力を持っていると判断されなければいけません。
また、さまざまな種類の講座があるため、就職とは別に興味を感じる科目もあるかもしれませんが、これはあくまで就職支援のためのもの。趣味や興味の対象として受講を希望しても、選考の段階で不合格になる可能性が高いといえます。