団信は最初の契約方法で支払い条件が変わる
住宅ローンのリスクを抑えるために夫婦連帯で契約した融資契約。団信も別々だったのでいざというときの支払いも半分ずつになっていました。団信には連帯債務と連帯保証、ペアローンという契約方式があります。このうちローン残債が完済されるのは連帯保証のケースだけなののでした。
団信でもローンが一気に返済されない
夫の敏也さんは、妻の緒乃さんと大学生の双子の男の子たちを残して急逝してしまいました。もちろん、いろいろと困った状況が起こったのですが、不幸中の幸いは、子どもたちが数年で社会人になるまで成長していたことです。
また、解約せずに残してあった多少多めの生命保険、そして緒乃さんが子どもを育てながら仕事を続けていたことでした。その一方で、当ての外れたこともありました。それが、子どもたちが生まれてすぐ購入したマンションのローンです。
35年ローンで購入した住宅のローンの返済は、まだ半分近くの期間が残っています。ただし、緒乃さんは団信があるから、その分でローンは一気に返済されるものと考えたのですが、実際は違ったのです。
ほとんどの住宅ローンは、融資条件として団体信用生命保険の加入が必須要件となっています。いうまでもありませんが、この保険はローンの返済中に加入者に万一のことがあり、それ以降の返済に支障をきたすような場合、ローン残高と同額の保険金が返済に充てられ、ローン完済となるというものです。
団信でローン残債が完済されるケース
もちろん、緒乃さん夫婦もマンションの購入に際して団信に加入していました。ところが、敏也さんが亡くなったことを保険会社に通知すると、保険金で充当されるローン額は半分程度だといわれてしまったのです。
緒乃さんたちが利用したのは連帯債務の団信でした。夫婦共に仕事をしていて安定収入があったこと、将来を見据えてやや高額の購入物件ということもあり、夫が主な債務者、妻が連帯債務者となって物件に対して1本のローンを組んだのです。
この場合、敏也さんが亡くなったことで適用される保険はその収入割合分のもので、その分の保険金が支払われます。緒乃さんの収入部分に相当するローンはそのまま残ってしまうのです。
団信には、ほかに連帯保証で夫だけがローンを組んで妻が連帯保証人になるもの、それぞれ収入のある夫婦が別々にローンを組むペアローンがありますが、このうちローン残債が完済されるのは連帯保証のケースだけだったのです。