在宅要介護者介護手当は在宅介護の負担軽減制度
以前は在宅介護の助成金として「介護手当て」が支給されていました。しかし、家族介護の固定化を招くという考えから廃止され、現在は「在宅要介護者介護手当」や「家族介護慰労金」などの制度が実施されています。このふたつの制度のほかにも、似たもので「在宅高齢者介護手当」などがあります。
在宅要介護者介護手当の支給の対象
在宅要介護者介護手当などは各自治体で行っている制度なので、支給額は地域によって異なるうえ、制度自体を行っていない自治体もあります。おおむねの支給額は年間で10~12万円程度です。
在宅要介護者介護手当などの支給の対象となるのは、自宅で1年以上、要介護4~5に認定されている家族を介護している人などです。
自治体によって申請先と申請方法は異なりますが、基本的な流れはどの制度もおおむね同じです。順を追ってみていくと、まず自治体の福祉課に問い合わせて、申請書を入手。次に、申請書に居住状況、医療機関の入院状況、介護の状況などについて記入したのち、送付します。
後日、記載された内容および支給要件について審査が行われ、支給要件を満たした場合、訪問調査が行われたうえで在宅要介護者介護手当の支給が決定されます。
在宅要介護者介護手当の厳しい条件
在宅要介護者介護手当の決定通知書が届いたら、請求書を自治体の福祉課に送付してください。これらの手順をふめば、指定の銀行口座に手当が振り込まれます。
在宅要介護者介護手当の手続き自体はそれほど難しいものではありません。しかし、居住している市町村によっては、「市内に1年以上居住している」「1年以上入院していない」「介護保険料や国民健康保険の滞納がない」など、さらに条件が追加されるところもあり、受給条件自体が、かなり厳しいものとなっています。
なかでも、もっともハードなのが「過去1年間、介護保険サービスを利用していない」という条件。家族だけで要介護4~5の人を、介護保険サービスなしに、世話するのはかなり大変です。
介護を受ける人がヘルパーなど外部の人間の介入をかたくなに拒否したり、家族のなかで「絶対に自分が介護したい」と主張する人がいる場合などに利用するとよいでしょう。