失踪宣言で相続人が行方不明でも遺産分割協議
相続人のなかに行方不明者や連絡がとれない人がいる場合、その人を除いて話し合いをしても無効になってしまいます。相続人が行方不明の場合、遺産分割協議はできるのかを見ていきましょう。失踪宣告の申し立てによって、無事に相続を進めることができた事例を見ていきましょう。
遺産分割協議に相続人のひとりがいない
淳二さんは、妹がふたりという3人兄妹の長男です。彼らは全員実家を離れて暮らしていました。淳二さんと下の妹は家庭を持っていましたが、上の妹はひとり暮らし。父との仲が悪かったこともあって、ほとんど家族と連絡をとっていませんでした。
ある日、久しぶりに母が電話してみたところ、電話が通じません。心配になって長女の職場にもかけてみましたが、すでに退職しているとのこと。母は慌てて淳二さんや次女にも連絡し、戸籍を調べたりしたのですが、結局長女の消息はつかめませんでした。
それから10年がたったころ、父が病気で亡くなり、相続の問題が持ち上がりました。ところが、遺産分割協議をしようにも、相続人のひとりである長女がいないのです。
司法書士が失踪宣告の申し立てを提案
次女は「連絡がつかない以上、無視するしかない」と主張しましたが司法書士に相談したところ、「無視はできない」といわれました。
司法書士は代わりの方法として、失踪宣告の申し立てを提案。失踪宣告とは、行方不明になって7年以上が経過した人について、利害関係がある人から家庭裁判所に申し立てがあれば亡くなったものとみなすことができるというものです。
長女は失踪して10年以上が経つため、淳二さんが失踪届を提出。死亡扱いになり、相続を行えるようになりました。母は渋りましたが、淳二さんたちはこの制度を利用し、無事に相続を進めることができたのです。
記事カテゴリ: カルチャー