姻族関係終了届に故人の親族などの許可は不要
結婚することで変わるのは、夫婦間の関係だけではありません。夫、あるいは妻が相手の籍に入ることになるため、その相手の親族と、新たに姻族という関係が結ばれることになります。この関係は、離婚してしまえば自動的に解消されるものですが、夫や妻本人が亡くなっても、絶たれるものではありません。
姻族関係終了届は本人の希望で手続き
たとえば妻が夫の籍に入っていた場合、夫本人が亡くなったとしても、夫の兄弟や親と妻との関係は消えるわけではないのです。法律上、故人の3等親までの姻族は親族の範囲に入り、夫の甥や姪、伯父や伯母までは親族扱いです。
そのため、すでに夫が故人になっているにも関わらず、血縁上は他人のはずの義理の両親の扶養などが義務付けられる可能性もあります。この関係を解消するために必要なのが「姻族関係終了届」です。
姻族関係終了届には故人の親族などの許可は必要ありません。配偶者本人が希望すれば、自由に手続きをすることができます。必要なのは、届出人の戸籍謄本と身分証明書と印鑑など。ただし、詳細は届出先の自治体によって異なるので、事前に調べておくことをおすすめします。
姻族関係終了届を出しても遺産は無事
手続きとしては、住所地の市区町村役場に記入済みの姻族関係終了届とその他の必要書類を提出すれば完了です。期限などもなく、故人の死亡届が提出されていれば、いつでも手続きを行えます。
たとえば遺産相続の問題などでトラブルになり、関係が悪化してしまった場合、遺産相続がすべて終了した後にでも、関係を絶つことができるのです。
ただし、この手続きによって切れるのはあくまで姻族関係のみ。故人と婚姻していたことは、戸籍上もそのまま残ります。そのため、姻族関係終了を理由に、受け取っていた配偶者の遺産を返却するように求められることはありません。
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