定年退職後の健康保険はどれを選ぶのが正解?
全国民が加入する健康保険。基本的にこの制度には、加入する保険の種類などの選択肢はなく、勤め先が入っている協会けんぽの保険や共済組合などに加入するか、個人として国民健康保険に加入するしかありません。ただし、これは現役として働いている時期の話。この条件は定年退職するにあたって、変化することになります。
定年後の健康保険で子どもの扶養に入る
定年後の健康保険はまず、配偶者や子どもが健康保険の加入者になっていて、かつ本人の年収が180万円未満の場合、その保険加入者の扶養に入ることが可能になります。これには所得制限があるため、それまでの会社で継続雇用されて働き続けたり、新たに再就職したりといった状況にある人ではこのかたちを選ぶのは難しくなるでしょう。
しかし、夫婦ともにパートなどでの収入と年金で生活している状態であれば、所得もそこまで高額にはならないので、充分に選択可能です。健康保険の扶養に入っている限り、保険料はかからないので、それを考えるとこちらの方が得になるという人も多いかもしれません。
なお、扶養に入ることができるのは3親等以内の親族のみ。かつ生計維持関係にある人物に頼むことになります。
定年を迎えて仕事を退職し、扶養にも入らないということになったら、勤め先から加入していた健康保険を外れ、今度は国民健康保険に加入することになります。
定年後の国民健康保険は配偶者も加入
2016年までは、健康保険への加入期間が20年以上、あるいは40歳以降で10年以上ある人については、退職者被保険制度で守られていました。これに加入していれば、在職時と同様の保険制度を、75歳になるまで受けることができました。
ただし、これは現在一部の保険組合を除いて廃止されています。制度が残っているところでも、基本的に保障期間は65歳まで。期間が短くはなっていますが、雇用先の組合でこの制度が残っている場合は、利用を検討してみることをおすすめします。
なお、この年齢を過ぎればほかの被保険者と同様、国民健康保険への加入になります。
ちなみに、国民健康保険は各個人が加入するもの。夫婦であっても別々に加入が必要です。たとえば、それまでは勤め先の健康保険に扶養扱いで加入していた配偶者も、定年後の健康保険は一個人として国民健康保険に加入申請をしなければいけません。
一方、勤務先から保険に加入していれば、定年を迎えたとしても、そのまま働き続けることが可能です。近年は平均寿命も延びており、場合によると退職後も30年以上生きていくことになります。
そんななか、年金だけで老後を生活していくには不安が多いのでしょう。そのため、定年後もそのまま働き続けて貯蓄を増やしたいという人が多くなっているのが現状です。