70歳以上になると健康保険が大きく変化する
定年退職後の健康保険は70歳以上になると、状況が変わります。この歳までは、基本的に働き続ける人も多く、保険も選択肢がたくさんあります。しかし70歳を過ぎると、働き続ける人はごくわずかです。病気にかかる確率もずっと高くなり、重病も増えてきます。70歳以上の健康保険について詳しく見ていきましょう。
70歳以上の健康保険は医療費負担が倍増
定年退職後の健康保険は70歳以上になると、収入は減っていくのに、反比例するように医療費負担が倍増する可能性が高くなるのです。
そのような状況を鑑みて、医療費の自己負担額は、現役時代から引き下げられます。以前は1割まで引き下げられていました。しかし、この制度も2014年に改正され、それ以降に70歳を迎える人については、医療費の2割を自己負担することになりました。
なお、これはあくまで低所得の高齢者の場合です。健康保険なら、月給28万円以上、国民健康保険なら、住民税課税所得が145万円以上あると、現役並みの所得者と判断されます。その場合、70歳未満の加入者と同様、病院の窓口では3割が自己負担になります。
75歳を迎えると後期高齢者医療制度に加入
さらに、75歳を迎えると、今度は加入する保険自体が別のものになります。それまでの国民健康保険を脱退し、新たに加入することになるのが、後期高齢者医療制度です。それまでの健康保険とは異なり、基本的に自動的に加入されます。
ただし、あくまで国民健康保険からの移行なので、もしその時点でまだ企業の健康保険に加入していた場合は、国民健康保険への加入手続きが必要です。
なお、この制度に加入しても基本的に保険料の金額は変わりません。ただし、保険料の払込方法は、受給している年金からの天引きか、銀行からの引き落としのどちらかになります。
なお、この保険料は所得税からの控除が可能です。また、引き落とし先は家族の口座も選択可能。もし所得税を納めている家族がいる場合は、そちらの口座から引き落とした方が、控除を受けられるため、よりお得になります。家族の負担を減らすためにも、こういった制度は積極的に利用しましょう。