小規模宅地等の特例を受ける具体的な条件とは?
宅地の相続は相続人の生活に深く関わります。不動産は高額で、課税額も大きくなりがちですが、納税資金の不足で住む家を失う最悪の事態は避けたいところです。そこで土地の相続には税額を引き下げる制度が用意されています。それが小規模宅地等の特例です。小規模宅地等の特例について詳しく見ていきましょう。
小規模宅地等の特例で評価額を低減
小規模宅地等の特例を使えば、最大80%も土地の評価額を低減できます。小規模宅地等の特例の条件は基本的には、親族が相続した家に住み続ければ利用可能です。また、配偶者なら相続税を1億6000万円まで控除できる配偶者控除もあります。もちろん、これらは、相続税の申告が1日でも遅れると利用できません。
小規模宅地等の特例の具体的な条件は「被相続人の居住の用に供されていた」というケースでは「被相続人の配偶者」はとくに条件はありません。「被相続人と同居していた親族」は「相続開始のときから相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人」が条件です。
「被相続人と同居していない親族」は、次の1から3のすべてに該当する場合で、かつ、次の4及び5の要件を満たす場合になります。
小規模宅地等の特例の具体的な条件
1は被相続人か相続人が日本国内に住所がある、または相続人が国内に住所がない場合で日本国籍があること、2は被相続人に配偶者がいないこと、3は被相続人と同居していた親族がいないことです。
4は被相続人が亡くなる前の3年間で、相続人かその人の配偶者の持ち家に住んでいないこと、5が相続した宅地を相続税の申告期限まで所有することとなっています。
「被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等」というケースでは、「被相続人の配偶者」は特に条件はなし。「被相続人と生計を一にしていた親族」は「相続開始の直前から相続税の申告期限まで引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人」が条件です。
小規模宅地等の特例の財産評価
不動産を相続する際には、その財産評価額がわからず、遺産分割に手間取ってしまうことがあります。本番に備えて、ふたつの相続評価方法を押さえておくことも必要です。
ひとつ目は路線価方式で、国税庁から公表されている価格から計算。土地が面している道路によって決められている路線価に面積をかけて算出します。
もうひとつが倍率方式で、路線価が設定されていない宅地の評価額を算出する方法。市区町村役場の固定資産課税台帳に記載されている固定資産税の評価額に、地域ごとに定められる評価倍率をかけあわせます。住宅の場合、建物の評価額も関わりますが、これは固定資産税評価額と同額です。
なお、宅地の評価額は土地のかたちなどによっても変わるため、正確に算出したい場合は、税理士などの専門家に相談した方が賢明です。