不動産相続の「小規模宅地等の特例」とは?
相続する不動産の評価額を算出したら、ほかの財産に課せられる相続税と加算して納税を行わなければなりません。しかし、一般的に不動産は価格が大きく、相続税が高額になるもの。なかでも土地に課せられる相続税は高額です。そんなときのために用意された「小規模宅地等の特例」について見ていきましょう。
小規模宅地等の特例で評価額を下げる
相続税が高額ならば、相続した不動産を売却して現金にすることで、相続税納税の資金に利用すればいいとも考える人もいるかもしれません。
しかし多くの場合、相続する土地は自宅がセット。長く暮らした家には思い入れもあり、そのまま住み続けたいという人も少なくないはずです。そうすると、高額な相続税をほかのところから用意して、支払うことになります。この負担はとても大きなものです。
そこで、相続後も売却せず、利用し続ける土地に関しては、評価額を下げるための特例制度が用意されています。それが「小規模宅地等の特例」です。この特例は、相続した土地が一定の条件を満たしていれば、その土地の評価額を大きく下げられるというものです。
小規模宅地等の特例を受ける4つの条件
被相続人の配偶者が相続する場合には、無条件で受けることができます。また、被相続人と同居していた親族であっても、自宅の土地を相続し、相続税の申告期限まで住み続ける場合に限り適用されます。
さらに、別居していた親族であってもこの特例を受けることはできるのですが、その場合には、いくつかの特別な条件が課せられます。その条件というのは、以下の4つです。
「被相続人に配偶者がいない」「被相続人が親族と同居していない」「被相続人の死亡前3年間、この不動産を相続する相続人やその配偶者が自宅を所有していない」「相続した土地を、相続税の申告期限まで所有している」です。
つまり、すでにマイホームを構えている別居家族の場合、この特例は適用されません。また、この制度は土地を誰が相続するのかが大きなポイントとなるので、遺産を分配する際には注意が必要です。