少額短期保険は所得税上の優遇を受けられない
少額短期保険業者は、そもそも成り立ちからしていわゆる民間会社の保険とは異なっています。運営しているのは、元々は規制がされていなかった任意団体を整備し直してつくられた会社です。2006年に改正された保険業法にしたがって、一定の事業規模の範囲内で、かつ厳しい基準をクリアしている会社だけが少額短期保険業者に認定されています。
少額短期保険は激変緩和措置がとられる
大規模な民間保険会社は、金融庁から免許を受けて初めて運営できます。また、資本金などをみても、少額短期保険業者よりもずっと大規模です。
一方、少額短期保険業者は一定の基準をクリアし、財務局に登録することで運営可能です。規模は小さいのですが、その分さまざまな特徴のある保険が設定できていることは、ひとつのメリットだといえます。
また、少額短期保険は法改正で急に規制が作られたこともあり、2023年までは激変緩和措置がとられています。
2013年と2018年を起点にそれぞれ上限額が定められており、2013年以前からの被保険者は上限額の5倍、2013年から2018年の間に被保険者になった人は3倍、2018年から2023年の間であれば2倍まで、少額短期保険業者でも引き受けることができます。
少額短期保険は確定申告で控除できない
ただし、一点注意しなければいけないことがあります。それは、保険会社による保険商品と違い、少額短期保険では所得税上の優遇を受けることができないということです。
生命保険や地震保険の保険料は、確定申告時に所得財産から控除することができるのですが、少額短期保険ではこれを適用することができません。節税の一環として保険を利用したいと考えている人には加入するメリットは少ないといえるでしょう。
なお、保険会社と少額短期保険業者を見分けるのはそれほど難しいことではありません。後者は多くの場合、社名に「○○少額短期保険」と入れています。
少額短期保険を基本の保険に追加する
少額短期保険はよくも悪くも、規模が小さいことが特徴です。保障は小さく、期間も短いため、これをメインの保険として利用しようと考えている人は少ないでしょう。
ただし、たとえばペット保険などのようなユニークなものではなくても、大規模な保険会社よりも自分が望む保障が受けられる保険が作られている可能性が高いのは確かです。
そういった保険をみつけた場合には、基本となる生命保険や医療保険などに追加する保障として、少額短期保険の利用を検討するのもひとつの手です。