成年後見制度の「後見人」には任意と法定がある
基本的に、銀行口座の扱いは名義人以外にはできません。名義人が亡くなり、その旨を銀行に連絡すると、その口座は凍結されます。しかし、名義人が自ら手続きをしようとしているのに、預貯金を扱えなくなる場合があります。それは名義人が「認知症になったとき」です。
後見人が財産の管理などを行う制度
銀行は、認知症になった所有者に対して意思決定能力がないと判断し、預貯金を守るために口座の取引を停止するのです。公共料金などの引き落としは継続されますが、投資信託などの運用も凍結され、老後に向けての資産運用などもできなくなります。
そのようなときの対策として、成年後見制度があります。これは、判断能力を失った人物に代わって、後見人が財産の管理などを行うという制度です。
後見人に与えられる役割は、本人の判断能力が低い順に「後見」「保佐」「補助」の3つ。それぞれ権限の範囲は異なりますが、基本的には本人の財産を守ることが目的です。
後見人には任意後見人と法定後見人
資産の保管を第一に考えるので、所有者にとってどうしても必要だと判断されない限り、財産の売買や投資で財産を移動させることはありません。
後見人には任意後見人と法定後見人の2種類があります。任意後見人は、本人の意思決定力が残っている間に、所有者が自ら指名しておく後見人のことです。事前に指名されていた後見人を、認知症にかかったときに家庭裁判所に申し立て、審判を経て認定されます。
もちろん、任意後見人でも、財産への権限は法定後見人と変わりません。しかし、この方法なら信頼できる身内に財産を託すことが可能です。また、この任命に際しては、公証役場で後見人契約書を作成しておくのが基本。この契約書で所有者が財産の処遇を指定できるので、自分の希望を伝え、安心して任せられます。
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