相続に4種類の戸籍をすべて用意する必要アリ
実際に相続を行う際には、法定相続人が何人いるのか、相続人は被相続人と、それぞれどんな関係なのか、知られていない血縁者はいないかなどを明確にしたうえで申告を行わなければいけません。そのため、被相続人の出生から死亡までの戸籍を用意して、すべての相続人の存在を明らかにしておく必要があります。
出生から死亡までの戸籍は4種類を用意
ここでいう戸籍とは、戸籍謄本、戸籍抄本、改製原戸籍謄本、除籍謄本の4種類です。出生から死亡までの戸籍を求められた場合には、この4種類すべてを用意しなければなりません。とはいえ、これらの戸籍をみる機会はなかなかありません。それぞれがどのようなもので、どのような違いがあるのかを紹介していきましょう。
まず、戸籍謄本とは、世帯全員分の戸籍の証明書のことです。現在は戸籍全部事項証明書ともよばれます。
一方、戸籍抄本は、戸籍謄本から一部の人物の情報を移した証明書のこと。相続人になるはずの子どもが亡くなっている場合などはその人物の戸籍抄本を確認し、代襲相続する孫の有無などを確認します。戸籍個人事項証明書ともよばれます。
改製原戸籍謄本は、戸籍法の改正前や、コンピュータが導入される前に作成された戸籍謄本のことです。書き替えされる前の戸籍は、除籍した人物にバツ印がつけられるなどして、除籍の事実が一目でわかるようになっていました。
4種類の戸籍すべてを調べていく必要
しかし、書き替えに際してその人物についての記載は削除されています。そのため、過去に離婚などした経験がある場合、この改製原戸籍謄本を確認しなければならないのです。
最後の除籍謄本は、死亡や結婚によって在籍者がいなくなった戸籍の謄本のこと。その戸籍に入っていた人物がいなくなり、空になった戸籍について、詳細を確認することができます。
相続では、その人物の戸籍上の関わりが、すべて必要になります。そのため、婚姻前の戸籍や転籍前の戸籍などがある場合を考え、これら4種類をすべて取り寄せ、調べていく必要があるのです。
この4種類の戸籍がなければ、相続の手続きを行えない場合も多くあります。調査したり、収集したりする手間が必要になりますが、きちんと集めて用意しなければならないのです。