「連年贈与」と「暦年贈与」の分かれ目とは?
税務署から指摘されない生前贈与には「連年贈与」と「暦年贈与」を理解しておく必要があります。毎年定額を贈与をしていると、連年贈与として認定され、全額の分贈与税を課税される危険性を伴います。しかし、贈与契約書を毎年つくったり、額を変えて贈与を行うなどの方法を使うことで、暦年贈与となり贈与税の支払いを避けられるのです。
かえって納税額が高くなってしまう
毎年の贈与に対して税金がかからない贈与は暦年贈与として知られ、この範囲内であれば申告は必要ありません。しかしその場合、最終的に相続税申告をした際に、生前の贈与分はどうなったのかと税務署から調べられることになるのです。
そのときにこうした贈与をみつけると、税務署では、本来一度に渡すはずだった財産を、贈与税を避けるために数年に分けて渡したのだと判断するのです。その結果、数年にわたる贈与財産を、すべて最初に贈与したタイミングで渡したものと考えて贈与税の納付を求めることになります。
これではせっかく相続税対策として贈与した財産にも税金がかかってしまいます。それどころか、贈与税は相続税よりも税率が高いため、同じ金額をなにもせずに相続した場合よりも、かえって納税額が高くなってしまうのです。
毎年個別に贈与契約書を取り交わす
これを避けるには、たとえば、毎年個別に贈与契約書を取り交わして証拠を残しておくなどの方法が有効です。贈与をするときは、証拠を残すことが重要。財産などは、だれがみてもわかるように記載し、法的に認められるだけの形式に整え、双方の署名・押印を入れておかなければなりません。
贈与契約書には特別決まったフォーマットなどはありません。双方が贈与に同意していることがわかればいいため、作成日を記入し、双方ともに署名、捺印をして金額などの詳細を記入して作成します。
あるいは、もっと手軽に贈与する金額や贈与を行うタイミングを毎年少しずつ変えたり、贈与額を110万円よりも少し高くして毎年税額申告を行い、贈与税を納めておくといった手もあります。
生前贈与は高い節税効果が期待できる分、リスクもある方法なので、その点を理解し、必要に応じて専門家などにアドバイスをもらいつつ進めておくと安心です。