「更正の請求」で過大評価した財産を取り戻す
相続税の申告・納付期限が10カ月以内というのは、長いように思えて意外と短いものです。誰かが亡くなったあとには、葬儀や各種手続きなどがあるため、家族が腰を落ち着けて相続の話し合いを始められるのは、どうしても葬儀が終わって数週間から数カ月後になってしまいます。
実際とはかけ離れた評価額を出した
そのうえ話がこじれたり、いい争いになったりすると協議だけで数カ月たってもまとまらないというケースも珍しくありません。そうこうしているうちに、申告・納付期限はどんどん目の前に迫ってきます。
相続を行うにあたって、相続人たちがまず最初に時間をとられるのは、相続財産を整理して、それを評価する作業でしょう。とくに不動産が相続財産の大きな割合を占めるような場合には、本来ならば時間をかけて丹念に評価すべきなのですが、申告・納付期限に間に合わせるために慌ててしまったり、計算を間違えたりして、実際とはかけ離れた評価額を出してしまうこともあります。
過少に評価すれば税金が追徴されかねませんし、逆に過大評価であれば余計に税金を納めることになってしまいます。
更正の請求は申告期限から5年以内
もしも相続財産を過大に評価してしまい税金を納め過ぎたら、その税金は二度と取り戻すことはできないのでしょうか? じつはこのような場合のための解決策が用意されています。それが「更正の請求」。この請求を行えば、納め過ぎた税金を還付してもらうことができるのです。
更正の請求ができるのは、相続税の申告期限から5年以内。贈与税についても同様です。5年を過ぎると原則として請求できなくなるので、「納め過ぎではないか?」と思ったときは、なるべく早く更正の請求の準備を始めるべきです。
ただし、遺産分割が決まっていない状態で申告し、その後分割が確定したケースなどのように、やむを得ない事情による場合は、申告・納付期限から5年以上が経過しても、一定期間内であれば請求を認めてもらえます。あきらめずに交渉してみることも大切です。