相続人が未成年の場合の「未成年者控除」とは?
若くして亡くなった人がいると、未成年者が相続に関わることが少なくありません。しかも、こういった場合、その死は急な事故や病気によることが多くなります。そのため、遺言書は残されておらず、遺産分割協議で相続について決めることになるケースがほとんどです。
相続人が未成年者の場合の特別代理人
ここで問題になるのが、未成年者の特別代理人。法的には、未成年者は十分な判断能力が備わっていないものと判断されます。そのため、遺産分割協議への参加は認められず、本人に代わって協議に参加し、意志決定を行う特別代理人が必要になるのです。
未成年者の代行として法的な行為を行う人物のことを法定代理人というのですが、本来、親権者や後見人などがこの位置に入ります。しかし、相続が発生し、その親権者も相続人のひとりに数えられている場合、代理人と本人は相続人同士で財産を分けあう関係に…。
そうなると、互いの利益が相反するため、代理人になることはできません。このように法定代理人が代理人としての任を果たすことができないときに選ばれる人物、それが特別代理人なのです。
相続人が未成年の場合は未成年者控除
この選任を受ける場合、親権者などが家庭裁判所に申し立てを行わなければいけません。そこで必要になる書類は「特別代理人選任申立書」「未成年者の戸籍謄本」「親権者の戸籍謄本」「特別代理人候補者の住民票」「遺産分割協議案」です。
申し立ての際には、叔父や叔母など、相続人ではない親族を候補者として立てることができます。候補者が不適格の場合、司法書士や弁護士などの専門家が選ばれることもありますが、基本的には候補になった親族がそのまま特別代理人に選ばれるケースが一般的です。
なお、遺産相続には高い税金が課せられることが多いのですが、未成年者の場合、それを納めるのも容易ではありません。そのため、未成年者が遺産を相続する際には未成年者控除が用意されています。
控除額は、相続人が20歳になるまでの年数×10万円です。1年未満の期間も、切り上げて1年として計算します。たとえば、相続人が16歳と3カ月だったなら、成人するまでは残りは3年と9カ月。このうち9カ月は切り上げなので、4年分の40 万円が控除されるというわけです。