未支給年金の請求は受給停止と一緒に忘れず行う
葬儀や死亡届などは故人がどんな人物であっても、遺族がかならず行わなければならない手続きでした。しかし、身近な人が亡くなった場合の手続きのなかには、故人の経済状況などによって、方法が変わる手続きがあります。そのひとつが、年金に関する手続き。年金の受給停止と未支給年金の請求です。
年金受給停止を怠ると面倒が増える
年金に関する手続きのなかには期限が短く、忘れてしまったことで手順が煩雑になる手続きや、届出を行うことで一定の支給金を受けることができるようになるものがあります。
まず、故人が年金受給者だった場合、亡くなった時点で、年金の受給を停止しなければなりません。この手続きを怠ってしまうと、死亡後も年金が払われ続けることになります。それだけなら、遺族は困らないように思うかもしれませんが、後日、年金事務所から返還を請求されます。
これに対応する場合には、普通に死亡を届け出るよりも多くの手続きが必要になり、面倒が増えてしまいます。給付金に手をつけていなければ、返還自体は難しくありませんが、もし気づかずに使ってしまうようなことがあれば、その請求に対する支払いを用意しなければなりません。要注意です。
未支給年金は遺族から請求できる
支給の停止には「年金受給権者死亡届」の提出が必要です。その際、戸籍抄本や死亡診断書のコピーなど、受給者の死亡を証明できる書類と、故人の年金証書も求められます。それらをまとめて、年金事務所か年金相談センターに届出を行います。
なお、支給停止の届出には期限があります。国民年金の場合、死亡日から14日以内、厚生年金の場合は10日以内です。葬儀を終えたらすぐにこれらの手続きに移らないと、遅れてしまう可能性があるので注意しましょう。もし遅れたとしても、できるだけ早く停止手続きを行えるように、準備を進めなければいけません。
これに対して、遺族から請求できる年金もあります。それは、故人への未支給年金です。亡くなった受給者と遺族が生計を共にしている場合に請求可能で、請求できる遺族の順位は1位が配偶者、2位が子、3位が父母、4位が孫、5位が祖母、6位が兄弟姉妹、6位がその他となっています。
未支給年金は遺族の請求で受け取る
公的年金は、偶数月の15日にその前の2カ月分が支給されます。受給者が1日に亡くなっていても、死亡月分は支払われるため、受給者がいつ亡くなったとしても、未支給分が発生するのです。
ただし、この未支給年金は、死亡届を出せば自動的に遺族に支払われるものではありません。遺族が請求することではじめて受け取ることができるのです。停止の届出と一緒に、この請求も忘れずに行うことをおすすめします。
この請求のために求められるのが「未支給【年金・保険給付】請求書」と、死亡届のときにも必要だった死亡を証明する書類と故人の年金証書。それに加えて、故人と請求者が生計を共にしていたことを証明する住民票などの書類と、受け取りに利用する金融機関の通帳も必要です。
これらをまとめて、年金事務所か年金相談センターに届出をすれば、未支給分はかならず受給できます。死亡届とまとめて書類を用意し、届出を行うと確実です。