松前真奈美のファミコン音楽は短調の曲が多い
参加音楽家陣の豪華さも『キラスタDX』の魅力。その中でも特に注目したいのが、松前真奈美さんです。松前さんは、ファミコンで『ロックマン』などを手掛け、アーケードでも『ファイナルファイト』などの名作で活躍してきたメロディメーカー。RIKI を聞き手に、音作りについて聞いてみました。
松前真奈美にはライブ後にお願い
RIKI 松前さんには『キラスタDX』、そしてその次に出す『8BIT MUSIC POWER FINAL』にも参加していただきました。実は、『キラスタDX』よりも先に『8MPF』の曲をお願いしたんですよね。
松前 2016年1月に『MightyNo.9』の音楽イベントで初めてお会いして。
RIKI そのときの松前さんがめちゃめちゃ酔っぱらってらしたことが、印象に残っています(笑)。
松前 そうそう。あれ、すごい飲んでたよね。
RIKI ライブの後に、「ぜひお願いします」とお願いしたら、「やりましょう」って言ってくださったんですよ。今の時代にファミコンで曲を作ってくれと言われて、戸惑いませんでしたか?
松前 『8BIT MUSIC POWER』は話題になっていたから、私も知っていたんですよ。「こんなことやってる人もいるんだ!」と思っていました。
松前真奈美が書いたゲームの音楽
RIKI それは嬉しいです!
松前 2014 年に『ショベルナイト』っていうゲームで、曲を書かせてもらいました。このゲームの音楽は、ファミコン内蔵音源+ VRC6(ファミコンの拡張チップ)なんです。ファミコンの3音に、VRC6 の3音を加えた6音ですが、久しぶりにファミコンの音を使ったんですよ。だから、準備ができていたのね。
RIKI 最初は「時間があったらMML の打ち込みもやってみるわ!」と言ってくださいました。
松前 結局ギリギリで、Tappy さんと下田祐さん(音楽家。『アトリエ』シリーズ、『シェルノサージュ』などを手掛ける)にMML を書いてもらったのよね。
RIKI それでは、今回の曲について教えてください。まず『8MPF』の曲については、どんなことを考えながら作ったのでしょうか?
松前真奈美はハードな感じが多い
松前 私が書いたファミコンの音楽には、短調の暗めの曲が多かったんですよ。アクションゲームが多いから、かわいいというよりハードな感じ。だから、メジャーな明るめの曲を書きたかったの。
RIKI なるほど! ファミコン時代の曲は、ちょっとシリアスなイメージのものが多かったですね。
松前 今回は、全部メジャーコードを使っているんですよ。あと、最後にちょっとびっくりさせたいなと思って、ゲームで死んだときみたいなフレーズを入れました。
RIKI 確かにそんな感じです!
松前 曲のタイトルが「I’m seeing things」で、「幻を見た」って意味なのね。楽しい感じの曲調で来て、「やっぱり幻だったのかな?」って死んだような雰囲気にしてみたんです。