死亡退職金は相続財産の税額とは計算方法が違う
故人が在職中だった場合、その勤め先へ亡くなった旨を連絡するだけでなく、保険資格喪失届を含めていくつかの手続きをする必要が出てきます。亡くなれば自動的に勤めていた会社から籍を抹消されて終わりというわけではないのです。死亡退職では法的に定められたいくつかの届出が求められるのです。
死亡退職届を提出して貸与物を返却
会社に勤めていた人物が亡くなった場合、その人は会社を退職することになります。役所への届出で戸籍を処理するのと同様、正しい手順で会社に死亡退職を届出なければいけません。
一般的に、死亡退職届を会社に提出し、社員証や被保険者証、貸与物などを返却してしまえば、その時点で故人は退職扱いになます。そしてそのあとの手続きはほとんどを職場の担当者が行ってくれます。
しかし、会社によってはそういったことを代行してくれない場合もあります。そうなると、手続きを求められるのは当然遺族です。
たとえば保険証の返却など。死亡退職では会社が行わないということになれば、遺族が自ら勤務先の会社が加入していた健保組合や、勤務先の住所がある都道府県の協会健保に、被保険者資格喪失届を提出し、届出を行うことになります。
死亡退職金の請求は大切な手続き
そのため、一度担当者と話をして、死亡退職で遺族はなにをしなければいけないのか、それはいつまでに行えばいのかなど、きちんと確認しておくことが大切です。
さらに遺族にとって大切な手続きのひとつが、死亡退職金の請求です。故人はあくまでも退職者として扱われることになるため、勤務していた期間などに応じた退職金が支払われます。ただし、これはの会社の規約によって、名義や金額が決められるため、その点も確認が必要です。
とはいえ、退職した本人がすでに他界しているため、それを受け取るのは本人ではなく遺族ということになるわけです。死亡退職では、加えて未払いになっている給与や経費などをきちんと調べ、間違いないように精算し、まとめて請求を行います。
ここで忘れてはいけないのは、死亡退職金は、その死によって発生した故人の財産だということ。つまり、最初から遺族のものとして扱われるのではなく、故人が亡くなったことで初めて遺族のものになった財産であるため、「みなし相続財産」と呼ばれ、相続財産として扱われるということです。
死亡退職金は税額の計算ほうが違う
相続財産は、受け取った人物がその相続税評価額と課税額を申告し、それに合わせて納税をしなければいけません。このときの相続税額の算出については、死亡退職金の場合、ほかの相続財産に課せられる税額とは計算法が多少違っていますので、その点も含めて注意しましょう。
こういった手続きは、まだ現役で仕事をしている人が亡くなった場合に必要になるものです。そのため、基本的に故人は急な病気や事故で亡くなっているケースが大半で、遺族は心理的にも十分に準備しているという場合は多くありません。
それでも忘れたり疎かにしたりすることなく、きちんと手続きを行うことが、故人のためにも遺族のためにも大切なのです。