民法の大改正によって「相続」が大きく変わった
平成から令和へと時代が大きく変わるなか、じつに40年ぶりとなる民法の大改正によって、相続も大きく変わります。相続に直面するのは一般に人生でほんの数回。しかも誰かの死とセットですから、多くの方にとっては「いつかは考えなければいけないが、できれば避けていたいこと」というのが実際です。
民法大改正の背景にあるのは少子高齢化
本来の相続は怖れるものでも、トラブルの種でもありません。法律も整備され、ルールを正しく把握していれば心配することなどなにもないはずです。
2018年7月、40年ぶりに民法を改正する法律が成立しました。これによって、相続や贈与の仕組みの一部が大きく変わります。実際の施行開始は2019年1月から。順次適用が進み、2020年の7月にはすべての制度が改正法に移行する予定です。
今回の民法大改正の背景にあるのは、少子高齢化による社会問題です。日本は世界有数の長寿国で、死亡者も親族も高齢になりがちな傾向にあります。結果的に、相続人の生活が遺産に依存する状況の増加へとつながっているのです。従来通りの相続の仕組みが制度疲労を起こしていることは確実といえます。
民法大改正で大きいふたつのポイント
今回の民法大改正には、そんな状況から発生するトラブルを予防・解決する各種施策が取り込まれました。なかでも大きいのはふたつのポイント。それが、配偶者の権利の保護と、相続に関わる手続きの簡略化です。
具体的には、配偶者を対象とした自宅居住権の保護や自宅贈与への優遇が挙げられます。残された配偶者の生活を守るために、とても大切な改正なのです。
また、預金の仮払制度や、自筆証書遺言作成の簡略化と公的機関での保管制度がスタートしたことも大きな変更点です。これらは遺産分割や相続手続のトラブルを減らすために重要な役割を果たします。
さらに、多少専門性が高く利用者は限られますが、遺留分制度や不動産などの相続に関する仕組みの変更も知っておくべきでしょう。