準確定申告の期限を忘れて高額の税金を納めた
相続にはさまざまな手続きが発生しますが、人によっては相続税よりも前にやるべきお金の手続きが準確定申告です。準確定申告をし忘れてペナルティが降りかかってしまうことがあるのでえす。サラリーマンとして働く茂雄さんが手続きを怠ったために高額の税金を納めることになった事例を見ていきましょう。
個人経営者が亡くなったら準確定申告
茂雄さんの父はすでに高齢で、会社員なら定年退職している歳ですが、地元で個人商店を営み、毎日店先に立っています。父は40代でこの店を始めて以来、ずっと元気に働いていました。しかし、ある日店先で倒れて、病院に緊急搬送。心筋梗塞でその日の夜に亡くなってしまったのです。
茂雄さんには弟がおり、兄弟仲もよく、葬儀などの手続きは協力して終わらせることができました。その後、相続の話になったのですが、それも店と実家は売却し、遺産はふたりで平等に分けるということで解決。相続税も発生していなかったため、円満に進んでいました。
しかし数カ月後、茂雄さんの元に、税務署から納税の連絡書が届きました。「相続税はかからないはずなのに」と不思議に思った茂雄さんが税務署に連絡すると、個人経営者が亡くなった場合、準確定申告が必要だそうです。
準確定申告の期限から長い時間が経過
準確定申告は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内に、申告と納税をしなければなりません。また、確定申告をしなければならない人が翌年の1月1日から確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合の準確定申告の期限は、前年分・本年分ともに相続の開始があったことを知った日の翌日から4カ月以内となっています。
茂雄さんはすぐに準確定申告に手を付けるべきでしたが、仕事が忙しかったこともあり、ついつい後回しに。結局そのまま、すっかり忘れてしまっていました。
すると、そのしばらくあと、今度は税務署から差し押さえ予告通知が届きました。茂雄さんは大慌てで、税理士に相談。どうすればいいのかと尋ねたところ、すぐに準確定申告を行い、納税するしかないといわれました。
しかし、すでに準確定申告の申告期限から長い時間が過ぎており、結局高税率の加算税がいくつも課せられてしまうことに。茂雄さんは、手続きを怠ったために高額の税金を納めることになってしまったのです。