特別寄与分の見直しで相続人に対して請求可能に
2018年の改正民法は、2020年の7月までに徐々に施行されています。現在、日本の民法は大きな過渡期にあるのです。改正民法の大きなポイントは「配偶者による住宅の相続」「遺言書の作成・保管」「預金の仮払い」「法定相続人以外の寄与」です。このうち、特別寄与分について詳しく見ていきましょう。
これまで寄与分は法定相続人にのみ
特別寄与とは、生前の被相続人に対して、親族などが無償で行った介護や経済上のサポートのこと。これを行った人は、この奉仕に対する報酬を相続財産として求めることができる場合もありました。
これまで寄与分は法定相続人にしか認められておらず、被相続人の孫などでも請求できませんでした。また、例えば被相続人の被相続人の配偶者が長年介護をしていた場合も、寄与分は受け取れません。
子どもが健在であれば、その相続分を増やしたりすることで対応できましたが、もし被相続人より先に子どもが亡くなっていたら、それもできず、なすすべもない状態でした。
しかし、この特別寄与分が見直され、6親等内の血族、配偶者、または3親等内の姻族なら、相続人に対して請求を行うことができるようになりました。
相続権のない親族・姻族の特別寄与分
特月寄与の対象になるのは、被相続人の療養、介護、事業への協力などで、無償で行われたものに限られます。被雇用者としての協力や報酬を受けての支援は認められません。また、被相続人の内縁の配偶者やその連れ子も対象外です。
条件はあるものの、相続権を持たない親族・姻族の特別寄与分が認められたことは大きな変更だといえます。
このほか、遺留分の請求に関する改正や、相続財産の所有権と登記制度との関連などにも、変更がありました。ただし、これらは制度が複雑なので、もし関係がありそうなときには司法書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめます。
民法はこの数年で多岐にわたる改正が行われました。どれもトラブルの回避や手続きの簡略化という意味で、相続に関わる人々にとってプラスに働く変更ばかりです。上手く活用し、相続を賢く乗り切るためにも、相続人、被相続人ともに、最低限の知識を身につけて、いざというときのために備えておきましょう。