特定空き家に指定されると取り壊し費用に助成金
高齢化に伴って、日本の各地で危険視されていることのひとつが、各地で数を増している空き家の問題です。たとえば子どもが独立した後の両親が老人ホームや子どもたちの元に移ったりした場合、彼らがそれまで住んでいた家は、空き家になってしまいます。ここでは「特定空き家」について見ていきましょう。
特定空き家の取り壊し費用を一部負担
空き家をすぐに売却できれば問題はないのですが、かならずしも買い手がつくというものでもありません。あるいは、その家の所有者が亡くなり、子どもが相続しても、そこに住まなければ、結局は空き家になってしまいます。このような事態に対して、各自治体が対応策を取っているのです。
空き家の除去を促進するために制定されたのが、老朽危険空家除却費用の助成制度。これは、すでに老朽化し周囲に悪影響を及ぼしている「特定空き家」に関して、その取り壊し費用の一部を自治体が負担するというものです。
自治体が実施しているため、住宅設備改修給付金などと同様、手続きや申請条件、給付金額などは地域によってそれぞれ違いがあります。基本的に、取り壊しが必要な家屋であると役所に申請を行い、対象住宅を取り壊す必要があると認定を受けることから始まります。
特定空き家が適用される住宅とは
その後、工事費用の見積もりを受け、助成金を申請。工事着手の許可を得られれば工事開始です。工事完了後その内容を確認して報告書を作成、振替依頼書を提出してようやく助成金の受け取りとなります。何度も書類のやりとりを行いますが、細かい内容は自治体によっても異なるので、事前に確認が必要です。
では、特定空き家の制度はどのような住宅に適用されるのでしょうか。さきほどの手続きにあったように、まずはその空き家が放置されることで、周囲になんらかの悪影響を及ぼすと認められた場合に適用されます。
当然のことながら、空き家が誰からの管理も受けず、長い間放置されていると、すぐに老朽化してしまうことになります。その結果、周囲の景観を損なってしまうかもしれません。また、不審者が立ち入ってしまう場合もあり、防犯・保安上も問題になるでしょう。
さらに、老朽化してホコリだらけの空き家を置いておくことは衛生的にもよくありません。最悪の場合、そのまま空き家全体が崩れ、周囲に粉塵をまき散らしてしまうようなことすらありえます。
特定空き家は地方自治体が主導する
以上のような理由から、空き家の放置は個人的なことではなく、地域にとっても問題の原因となるものなのです。そのため、この問題に対しては自治体がきちんと対応しなければいけません。特定空き家とは、このような対応が必要な、危険な住宅のことをいいます。
なお、すでに書いたように特定空き家は地方自治体が主導している制度です。そのため、給付金額も自治体によってさまざま。たとえば杉並区では、除却工事費の80%もの金額が支給されています。上限額は150万円です。
これに対して長野市では、上限を50万円として工事費用の2分の1を支給。このように地域次第で、金額は異なります。
また、これも地域によって異なりますが、施工業者は役所から指定される場合もあります。もし指定がなくても、基本的に許認可を受けた業者でなければ解体工事はできないので、依頼するときにはその点も確認しておきましょう。