生命保険は非課税なほかに優れたポイントがある
生命保険金には非課税枠のほかにも相続上、優れたポイントがあります。それは、誰に保険金を渡すのかを指定できるということです。この対象は法定相続人に限りません。子どもがいても兄弟を受取人にしたり、親族ではない友人などにすることすらできるのです。
親族以外の生命保険は非課税枠の適用なし
ただし、生命保険金を親族以外が受け取った場合、相続税に対する非課税枠は適用されません。全額課税対象になってしまうので、その点は注意してください。
なお、こういったケースとは別に、保険金がまったくの非課税になる保険も存在しています。それが医療保険です。所得税法では「身体の障害に起因して支払われる」保険金は、非課税になると規定されているため、病気やケガなどによって支払われる医療保険金は、非課税扱いになるのです。
そのため、自ら医療保険に加入して保険金を納めていれば、給付金によって大きな利益を得たとしても、その分の所得は課税対象外になります。これは、リビング・ニーズ特約による給付金や、入院や通院に支給される補償、がん診断による給付なども同様です。
ただし、これはあくまで所得税に対する措置。保険料を支払った本人が受け取っている保険金でしか、適用されることはありません。
同じ医療保険であっても、受取人が妻など、本人以外の誰かに指定されていた場合、贈与税などが別途課せられてしまうことになります。あくまでも例外的に非課税になるのだと考えておいてください。
生命保険には特別な控除枠が用意されている
また、所得税は非課税の状態で受け取ったとしても、それがそのまま遺族に引き継がれるときは相続財産扱いになり、相続税の課税対象になります。
このほかにも、保険への加入が税制上有利に働くケースがあります。というのも、所得税や住民税については、一部の保険に対して特別な控除枠が用意されているのです。
一部の保険とは、生命保険や地震保険など。これらに加入していると、秋ごろに各保険会社から、それぞれの保険についての「控除証明書」が届きます。これは、その人がどれくらいの保険料を払い込んでいたかを証明するものです。
この証明書を使って申請を行えば、所得税と住民税が控除されます。会社に勤めている人は、年末調整の際に、自営業などを行っている人は、確定申告の際に申請してください。
なお、生命保険料による控除制度は、2012年に改正が行われました。そのため、払い込んだ保険料に対する控除額が変更になっています。
改正以前に契約した保険の保険料はそのままの控除額が継続されていますが、それ以降の契約であれば、控除の枠は拡大されています。定年後も保険を見直しながら働こうと考えている人は、控除の枠について確認しておくことをおすすめします。