生活保護制度は生活に困ったときの最後の頼り
本人が望むかどうかに関わらず、収入が足りず、生活がままならなくなる場合があります。もちろん、定職に就く、資産を手放すなどの方法で収入を増やし、自立した生活をすることができるのであれば、その努力をするのが大前提。それができずに生活に困ったときの最後の頼りが「生活保護制度」です。
生活保護制度の基準は個人でなく世帯
もしものときの助けとなるこの支援のことを「生活保護制度」といいます。生活保護制度の認定の条件は自治体によって決まっており、基準となるのは個人ではなく世帯の生活状況です。
世帯人数は何人か、世帯主の年齢はいくつで収入はどれくらいあるのか、その地域の家賃や物価はどのくらいなのかなど、さまざまな状況を加味して、生活保護制度での給付が決定されます。
生活保護制度はあくまで対象者の自立を助けるためのもの。まずその世帯で働ける人がいるなら就業の努力をしなければいけません。また、頼れる親類縁者がいれば、少しでも力を借りるところから始めます。
そのほか、土地や預貯金、保険などの資産を処分して生活資金を得ても、なお援助が必要な世帯に支援が施されることになるのです。
生活保護制度はまず福祉事務所に相談
生活保護制度には生活扶助だけでなく、医療、出産、介護、教育、住宅、葬祭など、さまざまな資金が必要となる場合に対して扶助が用意されています。就職していて、どうにか生活はできているとしても、親の介護や医療費、子どもの教育費などを支払うのが困難だと証明できれば、きちんと支援を受けられます。
生活保護制度で受給するまでの手続きは、まず各地の福祉事務所に相談し、どのような事情で支援が必要なのか、本当に資産などを所有しておらず、やむを得ずこの制度を利用しなければいけない状況なのかどうかなど、詳しく確認を受けます。
給与明細や預金通帳など、世帯の収入や資産について確認できる書類を提出しなければいけない場合があるので、事前に用意しておきましょう。
その後、担当者の指示にしたがって申請書を提出。それを受けた福祉事務所が立ち入り検査を行い、申請書を審査して問題がなければ認定です。この手続きが終われば、1カ月ほどで支給開始。受給中は医療行為も無料で受けられます。
生活保護制度は就職しても受けられる
なお、収入が条件に含まれてはいますが、仮に就職していたとしても生活が困難だと認められさえすれば生活保護制度の支援は受けられます。労働者がいる世帯では生活保護は受けられないと考えている人もいるかもしれませんが、仕事をしつつ保護を受けることで家族を養っていくということも当然ありえるのです。
ただし、全額給付ではなく、基準となる最低生活費といわれる金額に対して、不足している分の金額が支給されます。この最低生活費が、世帯主の年齢と世帯の人数、住居地域の級地や家賃、障害者や養育する児童の人数、母子家庭かどうかなどの条件によって算出されるのです。
よくないイメージがつきがちな生活保護制度ですが、誰でも受給せざるを得ない状況に陥る可能性はあります。これを受けることは決して恥じるべきことではないので、必要ならば変なプライドは持たずに利用することをおすすめします。