相続トラブルで寄与分はどう考えるべきなのか
堺さんは3人姉妹の長女です。5年前、父親が亡くなったとき、病気がちな母親をひとりで生活させることが心配だったので、実家に戻り、母親と同居することに。実家は同じ県内だったので、仕事を変えずに済みましたが、その分、通勤時間は長くなりました。それでも、介護と仕事を両立させるため必死に頑張っていました。
遺言書なく遺産の持ち分について話し合う
当然、堺さんは母親の介護費用なども負担していましたが、領収書などをとっておくということはしていませんでした。父親の死から3年後、あとを追うように母親も亡くなってしまいました。
母親からの遺言書はなく、残してくれた財産の総額は自宅の土地・建物分の2000万円と預貯金2500万円の合計4500万円です。堺さんとふたりの妹で、遺産の持ち分について話し合うことにしました。
堺さんとしては、自分が介護した分(寄与分)を妹たちが認めてくれるだろうと思い、2000万円の価値がある自宅の土地と建物を相続するつもりでいました。
寄与分は認められず自宅を売却して現金化
次女と三女には、2500万円の預貯金を半分にして、それぞれに1250万円ずつ渡せばいいと考えていたのです。
しかし、次女、三女は財産すべてを平等に3等分(法定相続分)にするべきだと主張します。というのも、堺さんは家賃なしで同居していたので、その分の恩恵をすでに受けているからというのが言い分です。さらに、堺さんには介護をした証明となる費用負担の領収書などもありませんでした。
結局、堺さんの寄与分は認められず、自宅を売却して現金化し、預貯金と合わせて三姉妹で平等に分け合うことになったのです。介護に疲れていた堺さんは、お金のこともそうですが、自分の苦労を姉妹に理解してもらえなかったことに、怒りを通り越して悲しくなってしまいました。
記事カテゴリ: カルチャー