相続対策に生命保険を活用してトラブルを防ぐ
生命保険金は本来、被保険者が亡くなった後まで家族の生活を守るためにあります。そのため、すでに仕事をリタイアし、養っていた子どもたちも独立した後には、わざわざ加入するメリットはないように思われるかもしれません。しかしながら、じつはここに生命保険の隠された活用法があります。それが「相続対策」です。
相続対策に生命保険が役立つケース
なぜ生命保険が相続税対策に役立つのか不思議に思う人もいることでしょう。ここでは、その理由となる生命保険の特徴について、相続財産を現金で残した場合と生命保険金で残したケースを比較しつつ、順番に解説していきます。
まずひとつ目に、生命保険金は相続のときに起こる親族間のトラブル、「争続」の原因を減らすことができる利点があります。現金として遺産が残されていた場合、それはすべて相続財産扱いです。
相続財産であれば、土地も預貯金もすべてまとめて相続人たちの間で分割されることになります。しかし、このときにどう分けるかを決めるためにトラブルが起きるのです。
それに対して生命保険金は相続財産には含まれず、受取人が自ら申請して受け取ってしまえば、その人のものになります。分割する必要もありません。
保険金が納税資金になるから相続対策
また、預貯金などの財産に比べ、いち早く現金化して受け取れるというメリットもあります。生命保険金を受け取るためには一定の手続きが必要であり、その手続きには時効もあります。ただし、ほかの財産と比べると受け取るまでの手順は簡単。分割の割合などを決める必要もありません。
被保険者が亡くなり、それを受け取れる条件が揃った時点で、必要な書類を用意して、受取人が自ら手続きを行えばいいのです。会社にもよりますが、手続きを終えれば、保険金は1~2週間程度で指定の口座に振り込まれることになります。
すぐに手元に用意することができるのがなぜメリットになるかというと、相続税があるから。相続税は、家族が亡くなってから10カ月以内に、現金で納めるのが基本です。
しかし、遺産分割はトラブルになることが少なくありません。預貯金などは、これが決まらなければ、引き落として受け取ることもままならないのです。そうなると、相続税を納める準備すらできなくなります。そんなときに、生命保険の保険金が手元にあれば、それが納税資金になってくれるので相続対策になるわけです。