子どもに一切相続させない「廃除」の手続き
相続は当事者の事情によってケース・バイ・ケースで、個別にさまざまな状況が発生します。そこで、相続に関して疑問に思われることの多い内容をまとめまてみました。ここでは「子どものいない夫婦の相続権はどうなるか」「仲違いした子供に一切相続させないことは可能なのか」について見ていきましょう。
相続は死亡の順番で相続人が決まる
交通事故などで、子どものいない夫婦が亡くなったような場合、夫側と妻側の親族の相続権はどうなるのでしょうか。
相続は、死亡の順番で相続人が決まります。死亡日だけでなく死亡時間の前後も関係します。たとえば、夫が即死、妻は病院へ搬送されて死亡なら、相続権は「夫→妻→妻の親族(法定相続分)」、妻が即死で順番が逆なら「妻→夫→夫の親族」です。
ただし、それぞれの死亡時刻が明らかでないときは同時死亡と推定され、夫名義の財産は夫の親族、妻名義の財産は妻の親族が相続権を持つことになります。
完全に相続から除外したければ廃除
自分の子どもと仲違いしたなどの理由から、子どもに一切相続させないようにすることは可能なのでしょうか。
子どもは推定相続人(いまのまま相続が始まった場合の相続人)ですから、相続発生と同時に自動的に法定相続人になります。たとえば、遺言で一切相続させないと記載しても遺留分は請求可能です。
もし、完全に相続から除外したければ、家庭裁判所で「廃除」を決定されなければなりません。ただし、廃除は相続人の最低限の権利を奪う仕組みですから、その決定はよほどのことがなければ下されません。
一応の廃除要件は「被相続人への重篤な虐待」「重大な侮辱」「本人の著しい非行行為」など。ただし、もし廃除が決定されても、その子どもに代襲相続権が発生する可能性は残ります。
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