相続時精算課税は重複課税にならないから安心
「相続時精算課税」を選択する人の数は、暦年贈与の1割程度。この方法では得になるケースが限られているのがその理由です。しかし、上手に利用すれば税制上のメリットを大きくすることも可能になります。相続時精算課税で得をするケースについて、具体的に見ていきましょう。
相続時精算課税を利用する人が少ない理由
相続時精算課税では、年数に関わらず総額2500万円までの贈与が非課税となります。また、2500万円を超えた分も、一律20%の贈与税を納めるだけで済みます。
もし2500万円を贈与すれば、暦年贈与の特例税率であっても、税率は45%になります。控除額は265万円でも、860万円の贈与税がかかります。一方、相続時精算課税であれば、その時点では税金がかかりません。
これだけ聞くと、普通の贈与や相続よりも、相続時精算課税の方がずっとお得になると感じるでしょう。しかし、この制度を利用する人が少ないのは、これで終わりではないからです。
相続時精算課税は贈与して終わりじゃない
「相続時精算」という名前のとおり、この制度のもとで贈与した財産は贈与して終わりではなく、最終的に相続財産に加算され、その評価額の合計に基づいて相続税を納めることになります。
その際には、ほかの相続財産と合算された税率が適用されることになります。そのため、その財産を相続する場合と変わらない税金を納めることになるわけです。
とはいえ、2500万円以上の贈与を受けた場合でも、その贈与税分は控除されるため、重複課税にはならないので、その点は安心です。
では、この制度のメリットはなんなのかというと、実質的に贈与税をかけることなく、被相続人が亡くなる前に財産の名義を移すことができるという点にあります。
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