相続税は基礎控除があるので評価額を早めに計算
被相続人が残した財産を分割し、それを相続した場合、そのあとには相続税の納税が待っています。しかしその金額は、相続した財産の金額によって決まるものです。相続財産に対する評価額は実際の市場価格とは異なるため、まずは被相続人が残したさまざまな財産について、相続上の評価額を明らかにしなければなりません。
評価額が基礎控除以下なら相続税なし
相続財産には、預貯金や不動産、株式などはもちろんのこと、貴金属、書画・骨董など、さまざまなものが含まれます。相続税額を計算する際は、それらの財産の価値を、すべて金銭に換算しなければいけません。それぞれの財産の評価額の算出法は財産の種類によっても異なるため、その換算法や評価基準を知っておく必要があるのです。
相続税には基礎控除額というものがあります。相続財産の評価額がこの金額以下であれば税金が課されることはなく、相続税に関わる手続きも一切必要ありません。そのため、まずは相続財産の評価額を計算し、基礎控除額と比較することで、課税されるのかどうかを見極めることが必要です。
では、相続財産をどうやって評価するのかということについてですが、たとえば預貯金の場合、現金そのものなので、評価額も市場価格も変わりません。問題は、預貯金の額がその死後にも変動する可能性があることです。
相続税のための預貯金の評価額計算
預貯金がなんらかの理由で引き出される可能性があるため、相続が開始した日、つまり被相続人が亡くなった時点での残高が基準として定められています。
たとえば、生前に被相続人の世話をしていた相続人が、被相続人の死に気づく前に薬の購入などに預貯金を使ってしまうことがあるかもしれません。そのような正当な理由なく引き落とされた支払いを除いた死亡時点での金額が、相続財産として計算されます。
また、最近は低金利が続いていますが、定期預金などをしている場合は通常の預金よりも比較的利息が高くなります。
残された預貯金に利息が発生する場合、相続分にはその利息分も合算。利息は金融機関からの払戻時に所得税が差し引かれるため、相続開始の日に解約するとしたときに支払われる利子から、源泉徴収額を差し引いて計算します。預貯金に発生する利息の計算は複雑なので、金融機関に依頼し、算出してもらう方が確実でしょう。